御伽噺のお姫様【派生作品】 (ページ9)

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宜しくね、と言い、彼の頭を撫でる。
意外と熱くない。寧ろ心地良い暖かさだ。

弟のようで、とても恋愛対象...ましてや結婚だなんて考えられない。
それに、最期は一人だ。
まぁ、まだ時間はある。少しずつ、彼から離れていけばいい。

『ふふ。じゃあイデア、で。』

「僕はエラ...で。」

愛称で呼んでくれたので少し嬉しくなる。

周りの気遣いで二人きりになってしまったので部屋の外へ出る。少し屈んで歩く。
どうやら散歩らしい。

『弟がいるのよ。知ってるんじゃないかしら?』

話す事もなくて弟の話でもしようかと思い、口にする。

弟は私と違って有名だ。
けれど、その分とても恐れられている。とても優しい子なのに、と姉としては残念だ。

「...ドラコニアだから...マレウス・ドラコニア?」

『そう。とっても可愛い私の弟。』

弟の事を思うと自然と口が動く。

意外と天然で国民思いな優しい性格である事、つい最近、魔法でも力でも勝てなくなってきた事。小さい時の話も。

イデアは黙って聞いてくれた。皆途中で飽きてしまうようだからしっかり聞いてくれたのは彼が初めてかもしれない。

「僕にも、弟がいるよ。オルト、オルト・シュラウド。」

一通り話し終わった時に、イデアが口を開いた。

どうやら彼にも弟がいるらしい。確かにシュラウド家の息子は一人ではなかったように思う。

『あら、私と一緒ね。貴方の弟くんのお話も聞かせて頂戴?』