御伽噺のお姫様【派生作品】 (ページ2)

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NRC女子寮　ヴィル・シェーンハイト×ヘラ・シュラウドページ2

『お、お久しぶりで〜す...なんて...ははは...』

「久し振りね、ヘラ。」

世にも美しい男、もといヴィルは目の前の燃え盛る黄色い髪の女、もといヘラをじっとりと睨み付けながら少し厭味ったらしく挨拶を交わした。

対してヘラはヴィルをなるべく視界に入れないように、とでも言うかのように目線をふっとそらす。

「で。実習終わって帰ってきたと思ったら大切な大切な彼女が消えていたアタシの気持ち、分かる?」

『えっと...その...すいませんでしたぁ!!』

ヘラは勢い良くヴィルに向かって頭を下げた。
ヴィルは呆れた、とでも言うように溜息をつく。
ヘラはチラッと上の方を見た。しかし、ヴィルの般若の形相に再び頭を下げた。
助けてイデア!!と脳内で双子の弟に助けを求めようとも彼は暗〜い実家に居る。
助けに来てくれるなど毛頭思っていない。

「...アタシ、このままプロポーズするつもりだったのよ?でもアンタが逃げ出すから台無しよ。」

『...だって...私みたいなのよりもっと良い子いっぱい居るし、何も私じゃなくたって...』

付き合い始めた頃はまだまだ幼くて、将来自分がどうなるかだなんてまだ知りたくないと目を背けていた。

でもそうはいかなくなったのだ。
きっと私は彼の邪魔になる、ただそれだけ。
ヘラはぎゅう、と手を握りしめた。

「...アタシが、アンタが帰りたいと思えるような場所を作るわ。

だから

結婚してください。」

へ?と顔を思わず上げて情けない顔を晒すヘラ。
しかし、その次の瞬間には視界は涙で歪んでいた。

『...はい。』

ヘラはヴィルの手をギュッと握りしめた。

世間はジューンブライドとざわつき始める梅雨の始まりの時期だった。