story 46 ページ46
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夜、車、助手席、隣で運転する彼の姿。似たような光景を前にも見たな、と頭の片隅で思える程に、私は3度目の乗車にして落ち着きを保てるようになっていた。
そんな中、前方へ向けていた視線をチラリと右へ流せば、ハンドルに添えられた彼の手に視線が吸い寄せられる。その手は色白ながらガッシリとしていて、自分とはひとまわりふたまわりも違う大きさに、ひっそりと性別の差を感じた。そのまま彼の御尊顔でも一目見てみようかとも思ったが、それは何となく恥ずかしくなってしまって、ふい、と反対側へ顔を背けた。
特に会話の無い静かな車内には、唯一、途切れのないロードノイズが響いている。その起伏の無い聞き慣れた音が心地良く、運転席の温もりを隣に感じながら、車窓の外を眺めることにした。すると、外には無数の光の粒が広がっていて、東京に隣接する唯一の海へその光は落とされていた。
─…たった今、意識を外へ向けた事で気がついたが、いつの間にかに私達は、かの有名な東京湾を跨ぐ橋の上を走っていたらしい。流石の都内、発進してからものの数分で、こんな絶景を見下ろすことができてしまうとは。過ぎ去る景色の何もかもが漆黒の夜空に映えていて、そんな都心の煌びやかな夜景は、まるで星のように後ろへ流れていくのだった。
「凄い、綺麗……」
「綺麗っすよねー、夜なのにすげえ明るい。」
「ほんと、ずっと見てられちゃいます。」
「っはは、まあ東京住みっつっても頻繁にこっち来る訳じゃないっすもんね。」
思わず漏れてしまった声から、緩い会話が紡ぎだされる。ただ呆然と外を眺め続けていたからだろうが、何となく久しぶりにあらきさんの声を聞いた気がして反射的に彼側へ顔を向けると、前方を見据える彼の横顔が視界に入った。対向車から放たれたライトがその横顔を照らしていて、既に通った鼻筋は強調され、瞳には光が宿り、奥に映り込む夜景も相まって思わず凝視してしまうほどにそれは綺麗だった。
「……なんか、ついてます？」
「ッえ？！ッあ、いや、」
「っははは、見すぎ。」
「き、綺麗だったので……、つい。」
視線をこちらへ寄越さずとも私が見ていることを言い当てられ、驚き混じりに動揺してしまった。正直に綺麗だったからと伝えれば、「なんだそれ」と鼻で笑いながら返される。ここで照れでもしてくれればいいものの、緩く口角が上がるのみの彼にそんな気配は一切ない。……全く、気づいていたのならすぐ反応してくれればいいのに。
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こんぺい - 最推しの小説を探しててやっと見つけることが出来ました！！！出会えたこの作品と作者様に感謝です、、、、 (2021年11月23日 23時) (
レス) id: 08c835e323 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - 本当に好きです！この作品！！ (2021年8月30日 4時) (レス) id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら - 続く、、続く、、更新めっちゃ頑張ってください、、（なんかプレッシャーになってたらすいません） (2021年6月27日 4時) (レス) id: f269c77d86 (このIDを非表示/違反報告)
小梅 - なぜ今まで読んでいなかったんだ…… めちゃくちゃ面白くて続きが気になります！ (2021年6月21日 18時) (レス) id: 7947c0ed70 (このIDを非表示/違反報告)
涼 - あらなるがかわいすぎる...更新頑張ってください!!! (2018年8月24日 13時) (レス) id: d379028483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑞乃。 | 作成日時：2017年11月10日 22時
