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静かなエントランスに、無機質な呼出音が響く。インターホンを押した後も拍動は収まることはなく、寧ろ速度が増したような気さえする。そして少しの沈黙を挟んだ後、待ち望んでいた人物の声が聞こえてきた。
『いやーどうも、来ましたねえ。』
「ッあ、来ました、こんばんは……！」
『んじゃあここの扉開けるんで、そのまま伝えた部屋番号まで来てくれますか？』
「はい、了解です……！」
私の返事を境に、オートロックの玄関が開かれる。「部屋まで着いたらまたピンポンしてください」と最後に告げられ、返事をした後にそのまま敷地内へ足を進めた。思いの外すぐに玄関前には辿り着くことができ、メッセージで送られてきた番号と部屋番を見比べて何度も確認する。─…よし、間違いない。そう確信を持ったタイミングで、改めてインターホンを押した。
本日2度目の呼出音が鳴り、目の前の玄関を見つめる。するとゆっくりと扉は開かれ、人一人分程開いた隙間から特徴的な赤髪が目に入った。そしてそのまま私の前へ姿を現した彼は、改めて私に視線を向けて口を開いた。
「いやー久しぶりっすねー、どうぞ上がっちゃってください」
「ッお、お邪魔します……！」
私を確認した後に大きく扉が開かれ、中へ入るように促される。彼の体の前を通り過ぎるような形で足を踏み入れれば、背後ではしっかりと戸締りを済ませた音がした。
私がいそいそと靴を脱いでいる間に、あらきさんは私の横を通り過ぎて部屋の中へ入っていく。そして靴を揃えてやっとの事でフローリングに上がると、部屋の奥から「入ってきていっすよ〜」と間延びした声が聞こえてきた。その声に答えるように、本日何度目かの失礼しますを口に出してリビングへ入れば、私の視線はとある物に奪われた。
「ッえ…！ええ……！美味しそう…うわあ……！」
「っははは、いやーわざわざ来させちゃったんでね。気合い入れましたよ。」
「そんな事気にしないで下さい…！でも本当に凄い、お店みたいです…！」
─…なんて美味しそうで、豪華な料理だろうか。カウンターキッチンへ沿うように設置されたテーブルに、ほくほくと湯気立った出来たての料理が並べられている。リビングへ足を踏み入れて早々、彼よりも先に一直線にそちらへ目を奪われてしまった。
お店みたいだ、と素直な感想を述べれば、特に言葉は無く笑って返される。そのふにゃり、というような柔らかな笑顔に、私の心はまた強く打たれたのである。
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こんぺい - 最推しの小説を探しててやっと見つけることが出来ました！！！出会えたこの作品と作者様に感謝です、、、、 (2021年11月23日 23時) (
レス) id: 08c835e323 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - 本当に好きです！この作品！！ (2021年8月30日 4時) (レス) id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら - 続く、、続く、、更新めっちゃ頑張ってください、、（なんかプレッシャーになってたらすいません） (2021年6月27日 4時) (レス) id: f269c77d86 (このIDを非表示/違反報告)
小梅 - なぜ今まで読んでいなかったんだ…… めちゃくちゃ面白くて続きが気になります！ (2021年6月21日 18時) (レス) id: 7947c0ed70 (このIDを非表示/違反報告)
涼 - あらなるがかわいすぎる...更新頑張ってください!!! (2018年8月24日 13時) (レス) id: d379028483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑞乃。 | 作成日時：2017年11月10日 22時
