story 37 ページ37
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突如、見つめていたトーク画面が切り替わる。そして少しのタイムラグの後、聞きなれた着信音が流れ出した。画面に表示されている“あらき”の文字に、スマホを握る手が思わず力む。丁度今、頭に浮かべていた男からの着信とは、なんてタイムリーだろうか。
(……声聞くの、久しぶりだ。)
約一ヶ月やり取りを続けてきたとはいえ、仕事等で多忙を極めていた私はお会いすることは愚か、通話でさえもしたことは無かった。1度食事に誘って頂けた事もあったが、あろうことか仕事を理由に断ってしまい、それ以降そのようなお誘いは頂かなくなったのだ。
ああ、まずい。そうこうしているうちに、着信は6コール目に差し掛かろうとしている。……一体何を緊張しているんだ、今更。ここでふう、と一息ついた私は、表示されている緑の受話器をタップした。
『……あ、でた。やーーどうもどうも』
「お、お久しぶりです…！」
『お久しぶりっすー、すいません急に。今平気でした？』
久しぶりに耳にする彼の声に、ほわ、と心が暖まる感覚。電子を越えて聞こえてくるあらきさんの声はいつもより少し低く聞こえ、何となく落ち着かない。それでも初めて彼と通話できたという事実だけで、私の頬はこれでもかと言うほど緩みきっていた。
「全ッ然平気です、もう後は寝るだけなので…！」
『ああそうなんすね〜、ならよかったっすわ。』
「はい…お気になさらず…！」
『ふふ、はあい。』
「………」
『………』
──予想外の沈黙。私はともかく、彼の方まで黙り込んでしまうとは。私に何か用があったから電話を掛けてきたのではないのか？決して居心地が悪い訳ではないが、な、なんの時間なのだ、これは。頭にはてなを浮かべてぐるぐると考えたが、結局この沈黙に耐えられなくなったのは私の方で。当のあらきさんは全くと言っていいほど気にしていなさそうだが、恐る恐る口を開いて話しかけた。
「……と、というか電話って、何かあったんですか？」
『ん？あーいや、どんな声してたっけなあと思って』
「……え？」
『いや別に忘れた訳じゃないんすけどね。最近声聞いてなかったし、俺も暇だったんでー…』
思いもよらぬ回答に、思考が数秒止まった。「そうですか」となんとか返すことはできたが、それ以降の言葉が浮かばない。─…きっとなんの意味もなく言っているのだろうな。私の心臓は、こんな些細なことでも速まっていくのに。……いや、別に意味があってほしい訳ではないけれど。
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こんぺい - 最推しの小説を探しててやっと見つけることが出来ました！！！出会えたこの作品と作者様に感謝です、、、、 (2021年11月23日 23時) (
レス) id: 08c835e323 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - 本当に好きです！この作品！！ (2021年8月30日 4時) (レス) id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら - 続く、、続く、、更新めっちゃ頑張ってください、、（なんかプレッシャーになってたらすいません） (2021年6月27日 4時) (レス) id: f269c77d86 (このIDを非表示/違反報告)
小梅 - なぜ今まで読んでいなかったんだ…… めちゃくちゃ面白くて続きが気になります！ (2021年6月21日 18時) (レス) id: 7947c0ed70 (このIDを非表示/違反報告)
涼 - あらなるがかわいすぎる...更新頑張ってください!!! (2018年8月24日 13時) (レス) id: d379028483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑞乃。 | 作成日時：2017年11月10日 22時
