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「……考えすぎないで、Aさん。」
口元を緩ませ、優しく包み込むような声色でそう告げられた。少し眉を下げて笑うその表情が、彼の優しさを滲ませている。そしてまるで私の考えていることが分かっているかのように言うものだから、自然と胸が苦しくなった。そんな私を諸共せずに、彼は続けて口を開く。
「Aさんが、線引こうとしてくれてんのもわかってます。」
「……え、」
「俺から勝手に踏み込むだけなんで、Aさんが気にすることないっすよ。」
あまりにも優しい声色に、何と返したらいいのかわからない。寧ろ何が正解なのかもわからない。それでも、隣に座る彼は私の思いを理解していて、その上でこの言葉を掛けてくれている。活動者とリスナーの間にある壁の厚さを、彼が理解していない筈がないのに。
─…純粋に嬉しいと思うのはダメだろうか。彼の言葉がすんなりと心へ染み渡り、こんな時まで私を気遣う優しさに目頭がじん、と熱くなる。
「友達ってこと、ですか？」
「……まー、そんな感じで。」
私がそう聞けば、何やら含みのある返事。それに少なからず違和感を感じるも、片方の口角をあげて微笑む彼の顔を見ては、それどころではなくなり。自分の方から口にしたのに、その関係性が何だか擽ったかった。
それからというもの、心の中にあった罪悪感や気まずさといった感情はいつの間にか消え、車内には穏やかな沈黙が訪れる。そしてなるせの家からさほど距離の離れていない私の家は既に目前へと迫り、次第に家の前で停車した。
「本当に、ありがとうございました…！」
「いえいえ、俺も楽しかったっす、お疲れっしたー」
お互いに軽い会釈をし、シートベルトを外す。そして最後に改めて感謝の旨を口にし、流れのままに外へ出ようとしたその時。背後から何かを思い出したかのような小さな反応と、「待って」と私を引き止める声が聞こえた。その言葉に反応して振り返ると彼の手にはスマホが握られていて、当然の様に私の方へ差し出される。
「連絡先交換しましょうよ、てかLINE。」
「……え、」
「えっ、て、俺ら友達なんすよね？！」
「ッあ、そっか」
驚きつつも納得した私は、手を震わせながら連絡先を交換した。そして今度こそ車から降り改めて礼を述べれば、「また後で連絡しますね」と微笑みながら告げられ、彼の手によって扉が閉められる。連絡する、という言葉に固まる私を他所に、颯爽と車は進んで行った。
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こんぺい - 最推しの小説を探しててやっと見つけることが出来ました！！！出会えたこの作品と作者様に感謝です、、、、 (2021年11月23日 23時) (
レス) id: 08c835e323 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - 本当に好きです！この作品！！ (2021年8月30日 4時) (レス) id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら - 続く、、続く、、更新めっちゃ頑張ってください、、（なんかプレッシャーになってたらすいません） (2021年6月27日 4時) (レス) id: f269c77d86 (このIDを非表示/違反報告)
小梅 - なぜ今まで読んでいなかったんだ…… めちゃくちゃ面白くて続きが気になります！ (2021年6月21日 18時) (レス) id: 7947c0ed70 (このIDを非表示/違反報告)
涼 - あらなるがかわいすぎる...更新頑張ってください!!! (2018年8月24日 13時) (レス) id: d379028483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑞乃。 | 作成日時：2017年11月10日 22時
