story 33 ページ33
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確か、今週から冬初めだったような。だからといって、室内が特別寒いとは感じない。このタイミングでジャケットを羽織るというその行動に何となく疑問を抱いたが、すぐに“もしかして”と自分の中で1つの可能性が浮上した。その可能性に気づいてしまった私は、いそいそと支度を済ませ、早口でまくし立てる。
「それじゃあお先に、お邪魔しました……！」
「えっ、なーに言ってんすか。送りますよ。」
「ッいや、2人はこのまま飲み続けてい」
「送ってもらいな、A。」
私の言葉を遮ってあらきさんに同調するのは、一人しかいない。─…なるせ、君は口を閉じていてくれ。そしてなるせの言葉へ更に同調したあらきさんは「じゃあ車出してきますね」と言い残し、私より先に玄関を出てしまった。
自惚れもいいところだが、思った通りの展開だった。ただのリスナーなのに送ってもらうだなんて、
「……今回限りってことで、な。ほらあらきさん待ってるから。」
「……うん、今日はありがとね、お邪魔しました。」
「こちらこそ、じゃあね。」
眉を顰めて悩む私に痺れを切らしたのか、励ますように帰るよう促される。まだ罪悪感は拭えないが、あらきさんを待たせることはしたくない。そのまま玄関先までなるせに見送られ、こちらもじゃあねと手を振り返した。
ふう、と息をつき前に向き直れば、既に家の前に寄せて停まっている車。それは間違いなく数時間前にも乗った車で、運転席に座り私を待つのもまた見慣れた人物。意を決して車へ近づけば、私に気づいた彼と視線が交わる。反射的に会釈をしてそのまま後部座席の扉へ手をかけると、すぐ隣の窓がスー、と下ろされた。
「待って、こっち乗ってくださいよ。」
「……こっちって、」
「隣っすよー、となり。」
まさか、指定されるとは。昼の時には無かったリクエストに、思わず思考が停止してしまう。まだ乗っていないのに心臓がうるさいのだから溜まったもんじゃない。……というか推しに関わらず、こう言われて断れる人はいるのだろうか。いや、結局自分は自分に甘いのかもしれない。
「ッお、お願いします……」
「っははは、どうぞ乗ってください」
微かに声が震え、それに対してか楽しげに笑うあらきさん。そしてシートへ腰を掛けてみて分かる、距離の近さ。─…ああやっぱり、選択間違えたかも。
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こんぺい - 最推しの小説を探しててやっと見つけることが出来ました！！！出会えたこの作品と作者様に感謝です、、、、 (2021年11月23日 23時) (
レス) id: 08c835e323 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - 本当に好きです！この作品！！ (2021年8月30日 4時) (レス) id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら - 続く、、続く、、更新めっちゃ頑張ってください、、（なんかプレッシャーになってたらすいません） (2021年6月27日 4時) (レス) id: f269c77d86 (このIDを非表示/違反報告)
小梅 - なぜ今まで読んでいなかったんだ…… めちゃくちゃ面白くて続きが気になります！ (2021年6月21日 18時) (レス) id: 7947c0ed70 (このIDを非表示/違反報告)
涼 - あらなるがかわいすぎる...更新頑張ってください!!! (2018年8月24日 13時) (レス) id: d379028483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑞乃。 | 作成日時：2017年11月10日 22時
