story 22 ページ22
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自分の気持ちを一通り伝えると、なるせは観念したかのように笑った。
『……そっか、わかった』
「うん、折角誘ってくれたのにごめんね。今度2人で飲んだ時に感想とか言わせて！」
私がそう言うと、柔らかい声色で『了解』と返事が返ってくる。歌い手のなるせだと知っても尚、一緒に呑みに行ける友人でいられていることに嬉しくなる。今日の出来事も振り返りながら、改めて心の内で感謝した。
「じゃあ、そろそろ帰るね」
『はーい、気をつけて』
「うん、じゃあまた！」
流れるような会話の後、耳元からスマホを離して通話を切る。スマホを鞄へしまい、ふう、と一息ついた私は再度エンジンをかけ直した。ナビを起動させアルバムのCDをかければ準備万端。そのままアクセルを踏み、帰路についた。
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『打ち上げ、Aもこないかなって』
運転中、無意識のうちになるせの言葉が脳裏にチラつく。静かな時間が流れれば流れるほど、自分の選択は惜しい事をしたのではと考えてしまうのだ。自分から断りを入れておきながら一体なんだという話だが、心の奥底で、もし誘いにのっていたら、と少し考えてしまっている自分に嫌気が差して仕方がなかった。
(やっぱり、1度会っちゃうと欲がでてきちゃう)
悶々とでてくる欲張りな自分を、無理やり振り払う。気をまぎらわすように車内に流れる2人の曲に耳を傾ければ、あっという間に脳内は余韻に包まれた。今だに鮮明に思い出せるステージの光景に、1度落ち着いた気持ちも簡単に昂りだす。
あの目が合った瞬間が忘れられない。あの時の表情、この時の歌い方。あれもこれもを思い出している間の時間の流れは速く、既に自宅まであと数十分という所まで迫っていた。
***
家に着いて諸々を済まし、ソファに腰掛けている頃。一通の通知がスマホを震わせた。確認すると、通知の正体はあらきさんのTwitterからで、ツイートには今回の公演への言葉と、打ち上げの様子が書かれていた。
「そうだ、リプ…！」
ハッとしてキーボードを開き、思い思いに綴る。いつもの様に書いては消してを繰り返してやっとの事で送れば、そのまま姿勢を崩してソファへ寝転んだ。疲れきった身体を横にした途端、強い睡魔に襲われる。
……このまま寝たとして、明日は仕事。ああ、幸せだった今日が終わってしまう。ひんやりとしたソファが気持ちよくて、そのまま吸い込まれるように眠りについた。
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こんぺい - 最推しの小説を探しててやっと見つけることが出来ました！！！出会えたこの作品と作者様に感謝です、、、、 (2021年11月23日 23時) (
レス) id: 08c835e323 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - 本当に好きです！この作品！！ (2021年8月30日 4時) (レス) id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら - 続く、、続く、、更新めっちゃ頑張ってください、、（なんかプレッシャーになってたらすいません） (2021年6月27日 4時) (レス) id: f269c77d86 (このIDを非表示/違反報告)
小梅 - なぜ今まで読んでいなかったんだ…… めちゃくちゃ面白くて続きが気になります！ (2021年6月21日 18時) (レス) id: 7947c0ed70 (このIDを非表示/違反報告)
涼 - あらなるがかわいすぎる...更新頑張ってください!!! (2018年8月24日 13時) (レス) id: d379028483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑞乃。 | 作成日時：2017年11月10日 22時
