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険しくなりかけた思考をどうにか制御。
ついでに思い切り寄せた眉根も険しさを助長するために和らげておく。
今、Aに声をかけた男子生徒は1つ下の後輩でどうやらAに好意があるらしくて……。
本人に聞いてはいないが行動を嫌でも目にすればそう疑ってしまうのも無理ないと言わせてもらいたい。
「あの……A先輩」
「んー?」
「今日の放課後……少し時間いいですか?」
「え?
あー、大丈夫だよ」
いつもは声をかけてくるだけやったのに……。
9割の確率で告白やな、これは。
フラグ立てるわけじゃないけど、告白現場に遭遇、とか無いことを祈る。
しかも玉砕した時の保険もかけて終業式の日って……。
「……なぁ、放課後行くん?」
「うん。
何の話なんだろ」
「はぁ。
ほんま鈍感やな」
「なぁっ、鈍感って!
あ、さては!
あたし告白されちゃう〜とか?」
「……」
「……え、ちょっと待ってよ。
冗談だってー?
告白されちゃう訳ないない」
手をパタパタ扇ぐ仕草をして無いことを強調させるA。
そしてクラスは別々のためにその背中を見送ってた。
多分、そのまさかやの告白やと思うけどな。
と思っていたけれど残りの1割の可能性に賭けて黙っておくことにした。
……でも、もし……告白やったとして……
Aがオッケーしたら……
「……はあ。
やめや、やめ」
その時は、その時や。
自分には縁が無かったと。
そう言い聞かせるしか無いやろ……。
そもそも、ほんまに告白やとしたら、しようと決意したアイツの方がよっぽど偉い。
オレは……こんなちょうどいい距離を言い訳に逃げてばっかりやし……。
ただ、想いが伝わってしまえばいいなんて委ねても現実は何も変わらへんくて。
きっと、このままの自分じゃAの隣になんて並べへん。
どこにも行き場の無いモヤモヤとした想いをどうか誰か破り捨てて欲しいとまた他人事のように考えていた…────────
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作者名:モコ | 作成日時:2017年6月24日 23時