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「う、うん……！
大丈夫だよっ」
近くの公園にあったベンチへ移動する。
そこは遊具の影が長く伸び、遊んでいた子供達は親と手を繋いで帰って行く。
そんな寂しさ漂う空間の一角に腰掛けオレは覚悟を決めて話し始めた。
「オレ……実は対人恐怖症なんだ」
「えっ……」
「これでも結構マシになった方なんだけどね……。
今でも人と話す時、必要以上に緊張したりしてさ……。
嫌われるのが……怖いんだ」
「それが着ぐるみだと、うらたん本人だって分からないから……？」
「……うん。
着ぐるみ着てる時だけはさ……皆笑顔でいてくれる。
本当のオレじゃ……誰かを笑顔に出来ない……」
そんな自分がずっと嫌で……。
今、こうして聞いてくれるAちゃんにもつまらない話を聞かせているとか……
こんな自分を知ったらAちゃんもオレを嫌いになる……
そんなネガティブなことばかりが頭の中を渦巻いて嫌になる。
「……うらたん。
そんなに自分を責めてあげないで……？
うらたんはそのままでいいんだよ」
後ろ向きな思考に引きずり込まれそうになるオレを繋ぎ止めるかのように重ねられた手は温かくて……。
今まで邪険にしていたその体温が……
冷えて軋む心にまで不思議と届くのだ。
「どうしてそうなったのか……聞いてもいい……？」
「……高校の時、一番ってぐらいに仲の良かった友達に裏切られてさ……。
そっから自分に対して自信なくして……他人が怖くなった……」
「そんなことが……っ」
Aちゃんはオレの言葉に自分のことのように悲痛な表情を浮かべる。
「それも良くないって思って……慣れるためにこのバイトを始めたんだ……」
そのお陰か人と話すことへの抵抗は少しずつ感じなくなってはきた。
「そう……だったんだね……」
「楽しくないどうでもいい話しちゃったね……」
「どうでもよくない……」
「……っ」
「大事なことだよ……っ？」
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作者名：モコ | 作成日時：2017年6月24日 23時
