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「また、ね……」
オレは小さく呟いて手を振りながら、小さくなる彼女の後ろ姿を少しの間、見つめていた…──────────
＊
「……うわー……人多いなぁ……」
東京の街に人が多いのはいつものことなのだが……。
休日となるとやはり格が違う。
バイト帰りの夕時でさえも、あまりの人混みにそんな呟きが洩れる。
今からここを少し歩いて最寄り駅まで行かなくてはいけないと思うと余計……。
しかし、ずっとそうしている訳にもいかないため立ち止まっていた足を二、三動かした時……
「あっ……、すみません……」
「い、いえ……！
……ん？」
自分より幾分か小さい女の人とぶつかってしまった。
そしてその女の人は何か思い当たることがあるようなトーンで短い言葉を発した。
つられるようにオレもどこかで聞いたことがあるような声だなと首を捻った。
「……この声どっかで……？」
「Aちゃん……！？」
「……っえ？」
どこかで聞いたという疑問は相手も同じだったらしくそう言われてまじまじと相手を見てこっちも驚いた。
なんと、どうやらぶつかってしまった相手とはAちゃんで。
「……あ、あの……どこかでお会いしたことありました……？」
しかしAちゃんは着ぐるみの中のオレと会ったことが無く、どうして名前を知っているのかと少々警戒されてしまった……。
「……いっ、いえ……！
人違い……でした……！」
「い、いやでもあたしの名前を……ってやっぱりこの声どこかで…………あぁぁぁ！」
「……っ！？」
「もしかして……うらたん……？」
「……っえ……と……」
「やっぱりそうだ！！
この声！」
思い出せてスッキリしたのか両手を叩いて喜ぶAちゃん。
どうやらオレの否定も肯定もさして必要ではないらしい……。
「へぇーっ。
うらたんってイケメンだったのね！
……って、ごめん……近かったねっ……」
グイッと身を乗り出して近くなった距離に無意識で退く自分の体に気付いたAちゃんはそう言った。
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作者名：モコ | 作成日時：2017年6月24日 23時
