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そのまま過ぎ行く時間にもどかしさを覚えて、あたしも優しく坂田くんの掴む手をほどく。




「あたし、行かなきゃ。
坂田くんから貰った大事なものだから……」




無くしたままなんて嫌だった。



坂田くんはあたしの言葉に俯いて、そっかと呟く。



それきりあたしは後ろを振り返ることなく……



もと来た道へ走り出した…──────────











「け……結局見つからなかった……」






いつもの時間、いつもの場所……つまりは体育館の隅に腰掛け。


昨日、ストラップを探し回ったけれど見つからなかった。


ただでさえ憂鬱な高校生活だというのに御守りを無くした気分だった。




「あー、いたいたー」


「てか本当に毎日こんなとこにいたんだ?」


「マジでウケるな」


「……っ!」





……今日は厄日なのだろうか。



あたしに対するイジメの主犯格で同じクラスの男女三人組が近付いてきた。




「ちょっと来なよ」


「おら、立てよ」


「や、やめてよ……!」


「はぁ?
イジメられっ子の分際で偉そうにやめてとか言わないでもらえる?」




男子生徒に引っ張られては抵抗も抵抗になんてなり得ず、ズルズルと引きずられていく。



そして……




「あんたにはここがお似合いだっての」


「どーせあんたが学校来たって来なくたって変わんないし」


「そんな……!
出してよ……!」





連れてこられたのは体育館から程近い倉庫だった。


体育館の外にあるもののその距離は近く、倉庫は荷物があって場所はものすごく狭い。



人一人が入ることもままならない。



あたしが半ば無理矢理入れられた所ですぐに扉と鍵が掛けられる。


ここは生憎、出口にも入り口にも鍵が必要な構造で鍵が無ければ外へ出られない。



つまりは……




「……誰も来ないってことだ……」




先生にもきっとあの三人組が今日は欠席だとか何とか言っておくんだろう。



おまけに荷物も全て取られてしまって携帯もカバンの中だ。




「……このまま死んじゃうのかな……」




他人事のように呟く。



客観的に呟いていなければどうにかなってしまいそうだったからだ。

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作者名:モコ | 作成日時:2017年6月24日 23時

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