【Sa】救世主は仮面ヒーロー? ページ15
いつも君はあたしに光をくれた。
何の取り柄もないあたしを気遣って笑顔にしてくれた。
どんなピンチにも君が来てくれるとあたしは信じてた。
“……実はオレ……”
そう、あの日のあの瞬間までは…──────────
【救世主は仮面ヒーロー?】
「Aーっ!
おはよー」
「あっ……おはよ……」
「ん?
Aどーしたん?
元気ないやん」
「……え?
そ、そう……かな?」
校内でも人気者な “彼” は何の取り柄もないあたしにいつも声をかけてくれる。
その度に突き刺さるのは周囲の嫉妬の視線。
“なんであんたが坂田くんに声をかけられるの?”
そう……言われている気がしたから……。
最初は自意識過剰だと思い込んでいたけれど……。
「……また……今日も……」
下駄箱を開ければそこにあるはずの上履きは無い。
これで何度目だろうか……。
「Aー?
どうしたん?」
「な、なんでもない……。
ごめん、先に行ってて……」
逃げるようにあたしは靴を履いたまま玄関を出る。
引き留める彼の声にも聞こえないフリをして……。
そして体育館の隅の方に時間を潰すように腰掛ける。
中学の時に転校してきて関西ならではの訛りと独特のセンスで人気者の坂田くんは友達が多い。
同じクラスということもあり、あたしも友人の一人ということでカウントしてもらっていてよく声を掛けてくれる。
その頃からだ。
私物が無くなり始めたのは。
これはいわゆる坂田くんとは仲良くしないでという警告なんだろう……。
おまけに廊下を歩けばぶつかられるのも日常茶飯事だ。
「……やだよ、こんな高校生活……」
坂田くんとはもっと仲良くなりたい。
でも、もうイジメにあいたくない。
相反するその思考は日に日にあたしに重くのしかかってくるのである。
「A!
一緒に帰ろうや?」
「ご、ごめん……。
今日先生から雑用頼まれてて……!」
「あ、ちょ……!
A……っ」
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作者名:モコ | 作成日時:2017年6月24日 23時