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【Ur】キグルミlover☆ ページ1

誰かを笑顔にしたかった。


……けれど等身大の自分を見せることが怖かった。



そんな臆病で弱虫な僕を……




“何があっても傍にいるよ”





君が変えてくれたんだ…──────────






【キグルミlover☆】






「わぁー!
みてみてー!
うらたんだぁーっ」


「やっほー」




“うらたん”と呼ばれるオレの元へ駆け寄って来てくれる小さな子。


返事をしながら手を差し伸べて、可愛く振る舞う。


それがタヌキの着ぐるみを来たバイト生のオレの役目である。


板についてきたオレのその仕草に女の子は嬉しそうに笑ってくれた。


そして普通の着ぐるみと違うのはお喋りOKというところだ。



その点がまた珍しさでもあるのか地元で“喋るマスコット”として認知度を上げつつある。





「えっ、どこどこ!
あぁ!!
いたぁぁぁあ!
うらたぁぁぁぁん」


「あんたに言ったんじゃない……ってA……!
ったくー、また人の話を聞かんとぉ……」


「うらたーーん!
おはよう!」




……と。


オレ、うらたんを見かけて近寄って来てくれるのは割りと小さい子が多いのだが。



一人、オレを見つけては声を掛けてくれる人がいた。




「おはよう、Aちゃん……っ」


「今日もお疲れ様!」




年は大学生のオレより一つ下の高校三年生ということは彼女から聞いていた。


彼女、Aちゃんの通う高校はオレの出身校であることは今も内緒にしてある。


特に理由という理由は無いのだけれど……。


一応マスコットだからそこら辺はあやふやにしておこうかな、と。




「ありがとう……っ。
Aちゃんもお疲れ様」





同い年くらいの女の子との接点は大学内でもあまり無いために知り合って結構経つけれど未だに緊張してしまう。




「今日も一日授業頑張りましたっ!」




ニッと笑ってVサイン。



愛嬌のあるその笑顔は周りにいる人も癒してくれる。


さっきは緊張するとも言ったけれど、こうやって笑っているAちゃんを見るとホッとして肩の力が抜けていく。

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設定タグ:浦島坂田船 , 歌い手 , 短編
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作者名:モコ | 作成日時:2017年6月24日 23時

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