�� ページ50
黄side
「あ」
あのシルエット。
間違いない。
「遅かったやん！」
愛おしい恋人がふにゃりと目を細めて笑う。
紫「すまんすまん、寄り道してもうた」
「もう！」
頬をぷくっと膨らますと、大きな手が頬に添えられ親指でそっと撫でられる。
紫「かわええな」
「っ、そんなんで誤魔化される男ちゃうねんから！」
なんて、
ほんとはめちゃめちゃ嬉しい。
可愛いって言ってもらえる事もだけど、俺を見る濱ちゃんが優しい顔をしているのが一番嬉しい。
大事に想って貰えてるのが伝わってくるから。
ちら、と俺より少し背の高い濱ちゃんと見上げる。
紫「ん？」
ほら、
こんなに優しく笑いかけてくれる。
「…なんでもない」
胸に顔を押し付けてぎゅうっと抱きつく。
大好きな香り。
細いのに逞しい身体。
耳に心地よく響く声。
何もかもが愛おしくて仕方ない。
「なぁ、ずっと一緒におりたい」
紫「ふは、何言うてんの。昔からずーっと一緒におるやん」
「んー、そうなんやけどぉ」
紫「ふふ、大丈夫。一緒におるよ。これから先も淳太とずっとずっと一緒やから」
「ほんまに？」
紫「ほんま。約束」
顔を上げると、優しい瞳と視線がぶつかる。
あぁ、
ずっと待ってた
この時を、
「…濱ちゃん」
視界がじわりと滲む。
「…濱ちゃん、愛してる。ほんまに愛してるよ」
紫「うん、ありがとう。俺もやで」
「ｸﾞｽｯ…へへ、なんや泣いてもうた。濱ちゃん、約束してるのになかなか来んから、めっちゃ寂しなってしもたやん」
紫「ごめんな、待たせてしもて」
「なんかさ、『一日千秋』ってこう言う感じなんやなーって思った」
紫「一日千秋？」
「そう。一日が千年、千回の秋を迎えるかのように、長ーく感じる事」
紫「そっか」
「うん、たった1日会わんかっただけやのに、なんかめちゃめちゃ濱ちゃんの事待ってた気ぃするわ笑」
紫「なんや申し訳ないなぁ。でも、もうずっと一緒やから」
「へへ、うん！」
紫「ほら、行こか」
差し出された温かい大きな手を握り、2人で明るい光の先へ歩き出した。
橙side
あれから淳太くんの容態が急変し、メンバーと家族の見守る中、静かに息を引き取った。
その表情はとても穏やかで、本当に美しかった。
「淳太くん、タカヒロと待ってな？あと何十年かしたらみんなで会いに行くから。それまで、ちょっとの間お別れや」
温もりの残る手を握り、淳太くんとの最後の約束を交わした。
end
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紫茉莉花(プロフ) - nonkiさん» 生命の事を描写する事に少し不安もあったけど、いつか書いてみたいと思っていた作品です。年を重ねてお互いの持つ愛情の深まりも感じられたら良いなって思いました。情景を感じとって貰えて凄く嬉しいです🥲 (1月20日 4時) (
レス) @page22 id: 3783008df2 (このIDを非表示/違反報告)
nonki(プロフ) - 雪の日に君を想う、すごく好きです。静かなお話だけど紫桃の相手を想う熱は燃えてて…ほんとにシチュエーション描写が良くて映画みたいに頭の中に広がっていきます💜💗特にラストの締め方（紫桃のベッドシーンの一コマ）最高すぎる！ (1月19日 23時) (レス) @page22 id: 5cdd676e12 (このIDを非表示/違反報告)
むらさきジャス民(プロフ) - ne_iroさん» 泣かせちゃってごめんなさい😭でも、それ程感情移入して貰えたのがすごく嬉しいです😭一日千秋という題材でずっと書いてみたかった作品でした。ne_iroさんのコメほんといつも優しくて励みになります！ありがとうございました(*´∀`*) (2022年8月6日 8時) (レス) @page50 id: ac88e2bdd3 (このIDを非表示/違反報告)
ne_iro(プロフ) - ダメだぁ…ボロボロ泣いちゃいました… こういう系の話苦手だったのに、主さんのお話だと柔らかくて構えずに読めました。こっちのシリーズのお話達も大好きです！！ (2022年8月6日 2時) (レス) @page50 id: 1e987a1157 (このIDを非表示/違反報告)
むらさきジャス民(プロフ) - ne_iroさん» 紙袋をぎゅっとしてる時、キラキラおめめを想像して貰えると嬉しいです💚笑 こちらのお話がかなり久しぶりになってしまってたので、ちょこちょこ載せていきたいなって思ってます😁 (2022年7月20日 13時) (レス) id: ac88e2bdd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：JWpurple
| 作成日時：2022年1月3日 10時
