青の月｜紫青 ページ44
紫side
ある日の夜中。
ふっと目が覚めた。
夢と現実との境目で、隣で眠る身体を抱き締めようと手を伸ばすけど、指先が流星に触れない。
重い瞼をなんとか持ち上げて姿を探すと、流星は身体を起こしベッドの上で窓の外を見ていた。
月明かりに浮かぶあまりにも整った横顔と憂いを含む瞳。
白い布を纏ったその姿は息を飲むほどに美しく、目を奪われてしまう。
なんて、
なんてキレイなんやろ
「りゅうせ…」
思わず溢れた言葉。
それに気付いた流星が優しく微笑む。
青「起きてたん」
気怠さを纏う少し掠れた声。
「ん、…なんか、目ぇ覚めた」
青「そっか」
そう言って、再び窓の外に視線を戻す。
触れてしまえばはらはらと崩れてしまうのではないかと思うほど儚く、普段の流星からは想像も出来ない脆さを感じて、言い様のない感情が胸を締め付ける。
なんで
そんな顔するん
俺では流星を救われへんの？
青「月が、キレイや」
そんな顔せんで
「…流星、…おいで」
優しくそう言うと、少しだけ眉を下げて俺を見る。
「大丈夫、」
キレイな瞳が一瞬揺れ、それを気付かせないかのように目を伏せてから、素直に腕の中に収まってくれる。
少し冷えた身体。
消えてしまわないようにぎゅうっと抱き締めると、少しの間をおいて、やんわりと背中に腕が回された。
もっと、
しがみついてくれたらいいのに
俺に流星の抱える傷を
不安を
分けてくれるまで、ずっと側で待つから
だから
どうか、どうか
「流星は幸せでおってな」
青「…ふふ、…なにそれ」
頭を撫でていると流星はゆっくりと瞬きを繰り返す。
「おやすみ」
青「…ん…、おやすみ…」
流星の冷えた身体に俺の熱が伝わり、温かくなってきた頃には静かな寝息が聞こえていた。
穏やかな寝顔に心の底から安心する。
気付かないフリをして流星が俺の隣に居てくれるなら、俺はずっと道化を演じるから。
だから、
その心が壊れてしまわないよう、隣で守らせて。
「流星、愛してる」
囁いた言葉は今日も青い月だけが知っている。
end
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紫茉莉花(プロフ) - nonkiさん» 生命の事を描写する事に少し不安もあったけど、いつか書いてみたいと思っていた作品です。年を重ねてお互いの持つ愛情の深まりも感じられたら良いなって思いました。情景を感じとって貰えて凄く嬉しいです🥲 (1月20日 4時) (
レス) @page22 id: 3783008df2 (このIDを非表示/違反報告)
nonki(プロフ) - 雪の日に君を想う、すごく好きです。静かなお話だけど紫桃の相手を想う熱は燃えてて…ほんとにシチュエーション描写が良くて映画みたいに頭の中に広がっていきます💜💗特にラストの締め方（紫桃のベッドシーンの一コマ）最高すぎる！ (1月19日 23時) (レス) @page22 id: 5cdd676e12 (このIDを非表示/違反報告)
むらさきジャス民(プロフ) - ne_iroさん» 泣かせちゃってごめんなさい😭でも、それ程感情移入して貰えたのがすごく嬉しいです😭一日千秋という題材でずっと書いてみたかった作品でした。ne_iroさんのコメほんといつも優しくて励みになります！ありがとうございました(*´∀`*) (2022年8月6日 8時) (レス) @page50 id: ac88e2bdd3 (このIDを非表示/違反報告)
ne_iro(プロフ) - ダメだぁ…ボロボロ泣いちゃいました… こういう系の話苦手だったのに、主さんのお話だと柔らかくて構えずに読めました。こっちのシリーズのお話達も大好きです！！ (2022年8月6日 2時) (レス) @page50 id: 1e987a1157 (このIDを非表示/違反報告)
むらさきジャス民(プロフ) - ne_iroさん» 紙袋をぎゅっとしてる時、キラキラおめめを想像して貰えると嬉しいです💚笑 こちらのお話がかなり久しぶりになってしまってたので、ちょこちょこ載せていきたいなって思ってます😁 (2022年7月20日 13時) (レス) id: ac88e2bdd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：JWpurple
| 作成日時：2022年1月3日 10時
