�� ページ35
.
すっかり押し慣れた部屋番号。
だけど、玄関から濱ちゃんの顔が覗くまでは、いまだに緊張してしまう。
ｶﾞﾁｬ
紫「いらっしゃい」
濱ちゃんのいつもの優しい笑顔。
ようやくほっとする。
リビングのソファに座る濱ちゃんの横にちょこんと腰かければ、小さく笑って肩を抱き寄せてくれる。
紫「なんでそんな遠慮がちなん？笑 照史のとこから来た後ろめたい？」
「…それもやけど、…明日早いからあんまりイチャイチャしないようにしとる」
紫「ふは笑 そんなん気にするくせにうちに来たん？笑 ほんまあほやなぁ」
そう言って、ぎゅうっと抱き竦められる。
紫「頭のええ淳太やのに、俺のことが好きすぎてあほになってまうとか、可愛くてしゃーないわ」
耳に触れる唇と、低い声に、くらくらしてしまう。
紫「照史への罪悪感より、俺とイチャイチャしたあとの自分の身体の方が心配やなんて、…ほんま悪いやつ」
そう、
俺は、本当に
最低だ。
だけど、
「俺をそんなんにしたのは濱ちゃんやけどな」
俺らは共犯やろ？
紫「ふふ、せやな」
濱ちゃんのキレイな顔が近づいて来る。
それを俺は拒否する事なんか出来ない。
だって、
俺は濱ちゃんが欲しくて仕方ない。
優しく触れ合うだけの唇は、次第に甘く深い口付けに変わる。
「はま、ちゃ、」
紫「淳太、あっちの部屋行こっか」
Pipipi
スマホのアラームで目が覚める。
時刻は4:30。
ここから離れたところへ迎えに来てもらう為に、昨晩のうちに少し早く起きる準備をしていた。
濱ちゃんはアラームに気付かず、隣ですやすやと寝ている。
頬に軽くキスをして、起こさないようにベッドから抜け出す。
照史と違って、濱ちゃんは俺に執着しない。
見送ってくれることもない。
濱ちゃんには本命の彼女がいる。
それが分かっていてこの関係になったから、俺は何も求める事ができない。
濱ちゃんが与えてくれるのを待つばかり。
「…俺にやって照史がおるけどな」
照史の事は好き。
だけど、
それ以上に濱ちゃんの事が好きで好きで仕方ない。
蓋をしていた長い片思いは、思いがけない関係に変わってしまった。
「…またな、濱ちゃん」
今度は唇にキスをして、濱ちゃんの部屋を後にした。
歩き始めて暫くすると、
ﾋﾟｺﾝ
橙『おはよ！行ってらっしゃい！』
優しい恋人からのLINEに胸が締め付けられる。
「…ごめん、ごめんな、照史」
俺は、
どうしても濱ちゃんから離れる事が出来ない。
end
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紫茉莉花(プロフ) - nonkiさん» 生命の事を描写する事に少し不安もあったけど、いつか書いてみたいと思っていた作品です。年を重ねてお互いの持つ愛情の深まりも感じられたら良いなって思いました。情景を感じとって貰えて凄く嬉しいです🥲 (1月20日 4時) (
レス) @page22 id: 3783008df2 (このIDを非表示/違反報告)
nonki(プロフ) - 雪の日に君を想う、すごく好きです。静かなお話だけど紫桃の相手を想う熱は燃えてて…ほんとにシチュエーション描写が良くて映画みたいに頭の中に広がっていきます💜💗特にラストの締め方（紫桃のベッドシーンの一コマ）最高すぎる！ (1月19日 23時) (レス) @page22 id: 5cdd676e12 (このIDを非表示/違反報告)
むらさきジャス民(プロフ) - ne_iroさん» 泣かせちゃってごめんなさい😭でも、それ程感情移入して貰えたのがすごく嬉しいです😭一日千秋という題材でずっと書いてみたかった作品でした。ne_iroさんのコメほんといつも優しくて励みになります！ありがとうございました(*´∀`*) (2022年8月6日 8時) (レス) @page50 id: ac88e2bdd3 (このIDを非表示/違反報告)
ne_iro(プロフ) - ダメだぁ…ボロボロ泣いちゃいました… こういう系の話苦手だったのに、主さんのお話だと柔らかくて構えずに読めました。こっちのシリーズのお話達も大好きです！！ (2022年8月6日 2時) (レス) @page50 id: 1e987a1157 (このIDを非表示/違反報告)
むらさきジャス民(プロフ) - ne_iroさん» 紙袋をぎゅっとしてる時、キラキラおめめを想像して貰えると嬉しいです💚笑 こちらのお話がかなり久しぶりになってしまってたので、ちょこちょこ載せていきたいなって思ってます😁 (2022年7月20日 13時) (レス) id: ac88e2bdd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：JWpurple
| 作成日時：2022年1月3日 10時
