�� ページ25
紫side
青「俺は煙草吸ってから戻るわ」
もう一回だけと言ってたのに、優しく包み込むようなキスを落とすと、いつものように右の口角を上げて部屋から出て行った。
「…くそ、」
流星は俺の気持ちを知っている。
知っていてこの行動。
流星がどういうつもりなのかは分からない。
俺から聞く事が出来ないまま、もう何年も経ってしまっていた。
「ほんまアホやわ…」
深くため息をつき、重い足取りで楽屋に戻った。
ｶﾞﾁｬ
桃「あ、おかえりー」
楽屋の中にはソファで三角座りをしている望だけ。
「あれ、淳太は？」
桃「なんか流星探しに行ったで」
ドクッ
心臓が跳ね上がる。
流星は淳太より俺を優先する事はないから、気付かれる訳がない。
さっきだって見られてる筈はない。
あぁ、違う
そうじゃなくて…
どうしたって罪の意識に苛まれる。
望にバレないように小さいため息をついてソファに座ると、すぐさま膝の上に重みを感じる。
「ふは、なんや、…今日は甘えたやなぁ」
そう言って頭を撫でてやると
桃「流星の匂いする」
頭を撫でている手がピタリと止まる。
「…あぁ、さっき喫煙所で一緒やった」
「そーなんや」
手は震えてないか。
不自然な言い回しじゃなかったか。
頭の中は纏まらない感情でぐちゃぐちゃになる。
ｶﾞﾁｬ
黄「なぁ！流星戻ってる？」
桃「戻ってないで。なんか喫煙所らしいけど」
黄「えー？さっき見てきたのに！くそー、撮影始まるっちゅーねん、あいつほんまにぃ！」
桃「おじじ、老眼とちゃいますか〜？」
黄「うるっさい！もうええわ。もっかい見て居らんかったら先にスタジオ入る。流星来たらそう伝えて」
桃「おっけー」
ブツブツ文句を言いながら、淳太は勢い良く出ていった。
桃「なーあー！濱ちゃん！」
「…ん？」
甘えた声を出す望に視線を向けると、真剣な表情で真っ直ぐに俺を見ていた。
「……え？」
桃「流星はやめとき」
きっぱりと言い切られる。
なんて返事をしたら良いか分からず、望から視線が離せないままフリーズしてしまう。
そんな俺をじっと見た後、
桃「俺、みんなが好きやからさ」
もう一度ハッキリと俺に言葉を向ける。
「……うん」
そう、俺も
「……俺も、…みんなの事が好きやねん」
その返事に望はニコッと笑うと、何事も無かったように昨日の出来事を話し始めた。
望ごめん、
ほんまごめんな
愛じゃ無いと分かっていても、俺は…
end
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紫茉莉花(プロフ) - nonkiさん» 生命の事を描写する事に少し不安もあったけど、いつか書いてみたいと思っていた作品です。年を重ねてお互いの持つ愛情の深まりも感じられたら良いなって思いました。情景を感じとって貰えて凄く嬉しいです🥲 (1月20日 4時) (
レス) @page22 id: 3783008df2 (このIDを非表示/違反報告)
nonki(プロフ) - 雪の日に君を想う、すごく好きです。静かなお話だけど紫桃の相手を想う熱は燃えてて…ほんとにシチュエーション描写が良くて映画みたいに頭の中に広がっていきます💜💗特にラストの締め方（紫桃のベッドシーンの一コマ）最高すぎる！ (1月19日 23時) (レス) @page22 id: 5cdd676e12 (このIDを非表示/違反報告)
むらさきジャス民(プロフ) - ne_iroさん» 泣かせちゃってごめんなさい😭でも、それ程感情移入して貰えたのがすごく嬉しいです😭一日千秋という題材でずっと書いてみたかった作品でした。ne_iroさんのコメほんといつも優しくて励みになります！ありがとうございました(*´∀`*) (2022年8月6日 8時) (レス) @page50 id: ac88e2bdd3 (このIDを非表示/違反報告)
ne_iro(プロフ) - ダメだぁ…ボロボロ泣いちゃいました… こういう系の話苦手だったのに、主さんのお話だと柔らかくて構えずに読めました。こっちのシリーズのお話達も大好きです！！ (2022年8月6日 2時) (レス) @page50 id: 1e987a1157 (このIDを非表示/違反報告)
むらさきジャス民(プロフ) - ne_iroさん» 紙袋をぎゅっとしてる時、キラキラおめめを想像して貰えると嬉しいです💚笑 こちらのお話がかなり久しぶりになってしまってたので、ちょこちょこ載せていきたいなって思ってます😁 (2022年7月20日 13時) (レス) id: ac88e2bdd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：JWpurple
| 作成日時：2022年1月3日 10時
