�� ページ17
紫side
神ちゃんが帰った後、何をする気も起きず、テーブルに残されたマグカップをただただぼんやり見ていた。
"好きやった"
って、過去形やったなぁ
神ちゃんに言われて辞めていたタバコを取り出し、久しぶりに火を付けてふかす。
胸まで吸い込んだ煙をゆっくり吐いて紫煙を漂わせる。
「…あぁ、…煙がしみる」
目を閉じて神ちゃんの顔を思い出す。
それと同時に神ちゃんの「気になる人」の顔。
「…相手が女性って…、俺にはもうどうしようもないやん」
閉じている目から抑え切れなかった涙が一筋伝って、タバコを持つ手の甲に落ちた。
どれだけの時間そうしていたのか。
開けっ放しのカーテンの外はすっかり暗くなっていた。
夜景がやけに眩しくてカーテンを閉めようと立ち上がると
ピンポーン
インターホンが鳴った。
ドクンッ
身体中が一気に熱くなる。
ごくりと喉を鳴らし、震える手でインターホンを確認すると、
「…え？…………望？」
まさかの人物が立っていた。
「どした？急に」
突然の訪問に驚いたけど、居留守を使うのも気が引けたので、部屋に招き入れる事にした。
テーブルに置きっぱなしになっていたマグカップと、いつの間にか山盛りになったタバコの吸い殻。
望の視線がそれを行き来する。
「あ！ごめんなぁ、散らかしてた！笑 望、座ってて。いまコーヒー淹れる」
神ちゃんのマグカップを持って逃げるように台所へ向かう。
神ちゃんのマグカップ。
すぐに処分する事は出来ないけど、取っておくことも出来ない。
どうしたら良いか分からなくなって一旦シンクに置くと、またそれから視線を外せなくなる。
桃「……ゃん、…濱ちゃん！」
後ろから聞こえた声にハッとすると同時に、後ろから強く抱きしめられた。
「のぞ、む？」
桃「……俺、神ちゃんから聞いて…」
あぁ、そうなんや
さすがにタイミングが良すぎると思った
桃「…心配やってん、濱ちゃんが」
「ありがと、大丈夫やで！ごめんなぁ、心配かけて笑」
桃「…目ぇ赤くしてるくせに」
そう言って回された腕に力を入れる。
桃「俺のこと、…見てよ」
「え？、」
桃「俺は濱ちゃんの事が好き」
「………そっか」
桃「…ずっと、…好きやってん」
肩に落ちてきた望の頭。
押し付けられたところがじわりと滲む。
「…ふはっ！なんでお前が泣いとんねん！笑」
桃「ｸﾞｽｯ、うるっさい！泣いてへんわ！」
声を出して笑って、
ようやく呼吸ができた気がした。
→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 284人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫茉莉花(プロフ) - nonkiさん» 生命の事を描写する事に少し不安もあったけど、いつか書いてみたいと思っていた作品です。年を重ねてお互いの持つ愛情の深まりも感じられたら良いなって思いました。情景を感じとって貰えて凄く嬉しいです🥲 (1月20日 4時) (
レス) @page22 id: 3783008df2 (このIDを非表示/違反報告)
nonki(プロフ) - 雪の日に君を想う、すごく好きです。静かなお話だけど紫桃の相手を想う熱は燃えてて…ほんとにシチュエーション描写が良くて映画みたいに頭の中に広がっていきます💜💗特にラストの締め方（紫桃のベッドシーンの一コマ）最高すぎる！ (1月19日 23時) (レス) @page22 id: 5cdd676e12 (このIDを非表示/違反報告)
むらさきジャス民(プロフ) - ne_iroさん» 泣かせちゃってごめんなさい😭でも、それ程感情移入して貰えたのがすごく嬉しいです😭一日千秋という題材でずっと書いてみたかった作品でした。ne_iroさんのコメほんといつも優しくて励みになります！ありがとうございました(*´∀`*) (2022年8月6日 8時) (レス) @page50 id: ac88e2bdd3 (このIDを非表示/違反報告)
ne_iro(プロフ) - ダメだぁ…ボロボロ泣いちゃいました… こういう系の話苦手だったのに、主さんのお話だと柔らかくて構えずに読めました。こっちのシリーズのお話達も大好きです！！ (2022年8月6日 2時) (レス) @page50 id: 1e987a1157 (このIDを非表示/違反報告)
むらさきジャス民(プロフ) - ne_iroさん» 紙袋をぎゅっとしてる時、キラキラおめめを想像して貰えると嬉しいです💚笑 こちらのお話がかなり久しぶりになってしまってたので、ちょこちょこ載せていきたいなって思ってます😁 (2022年7月20日 13時) (レス) id: ac88e2bdd3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：JWpurple
| 作成日時：2022年1月3日 10時
