それぞれの想い｜紫緑+桃 ページ16
紫side
緑「俺、もう無理やと思う」
突然の言葉に思考が停止する。
「…え？なん、」
情けないほど動揺し、ようやく絞り出した声は掠れている。
休日に2人で並んで立つ台所。
いつもは何気ないその穏やかな時間が嬉しくて幸せなのに、今は沈黙で身体が押しつぶされそうになるのを必死で耐える。
付き合ってから直ぐに色違いで買ったマグカップ。
神ちゃんの視線は両手で持ったそのマグカップに注がれている。
「…嫌いになった？」
緑「…ちゃう」
「…好きな人、できた？」
緑「…………たぶん、」
たぶん
ってなんやねん。
笑って突っ込みたいのに、
声が出ない
笑えない
手が震える。
好き、とはハッキリ言えないけど、気になる人が出来たと言うことなんだろう。
「…○○さん？」
マグカップを持つ手に力が入ったのが分かった。
「…そっか。もしかしたら、そうかなって思ってた！そっかそっか！」
今の自分に出せる最大級の明るい声。
少しでもこの重い空気を変えたかった。
「俺のことが嫌いになった訳やないなら安心した笑」
緑「……ほんま、ごめん」
「謝らんで？立ち話もなんやし、一回ソファ座ろ」
そう言うと、素直に頷いてくれた。
ソファへ誘う為に伸ばした手は、すぐに引っ込める。
もう俺がこうして手を引いてあげる事はないんだ。
そう思うと胸の奥がチクッと痛んだ。
2人で座るソファ。
いつもよりほんの少しだけ離れて座る。
今はこの数cmがとてつもなく遠く感じてしまう。
「俺は神ちゃんの事が好きやし、すぐに割り切る事は出来ないかもしらん。だけど、迷惑はかけへん。それは約束する。安心してな」
緑「…濱ちゃんやもん、そんな心配してへんもん」
神ちゃんの瞳から涙がポロポロと落ちていく。
でも、もう涙は拭いてあげられない。
「泣いたらあかんよ。神ちゃんは笑ってて？笑ってる神ちゃんが大好きやねん」
そう言葉をかけると、涙をグイッと拭いてしっかり頷いてくれる。
「恋人ではなくなるけど、これからもメンバーとしてよろしくな。俺は神ちゃんが幸せでいてくれたら、それが一番やから」
緑「…あり、がと、…俺、ほんまに、ほんまにほんまに濱ちゃんのこと、好きやった」
顔を上げて真っ直ぐに俺を見る神ちゃん。
涙に濡れた睫毛がキレイやな、なんて、頭の隅でぼんやり思う。
「うん、ありがと。俺も。大好きやった。一緒におれて幸せやった。ほんまにありがとう」
→
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紫茉莉花(プロフ) - nonkiさん» 生命の事を描写する事に少し不安もあったけど、いつか書いてみたいと思っていた作品です。年を重ねてお互いの持つ愛情の深まりも感じられたら良いなって思いました。情景を感じとって貰えて凄く嬉しいです🥲 (1月20日 4時) (
レス) @page22 id: 3783008df2 (このIDを非表示/違反報告)
nonki(プロフ) - 雪の日に君を想う、すごく好きです。静かなお話だけど紫桃の相手を想う熱は燃えてて…ほんとにシチュエーション描写が良くて映画みたいに頭の中に広がっていきます💜💗特にラストの締め方（紫桃のベッドシーンの一コマ）最高すぎる！ (1月19日 23時) (レス) @page22 id: 5cdd676e12 (このIDを非表示/違反報告)
むらさきジャス民(プロフ) - ne_iroさん» 泣かせちゃってごめんなさい😭でも、それ程感情移入して貰えたのがすごく嬉しいです😭一日千秋という題材でずっと書いてみたかった作品でした。ne_iroさんのコメほんといつも優しくて励みになります！ありがとうございました(*´∀`*) (2022年8月6日 8時) (レス) @page50 id: ac88e2bdd3 (このIDを非表示/違反報告)
ne_iro(プロフ) - ダメだぁ…ボロボロ泣いちゃいました… こういう系の話苦手だったのに、主さんのお話だと柔らかくて構えずに読めました。こっちのシリーズのお話達も大好きです！！ (2022年8月6日 2時) (レス) @page50 id: 1e987a1157 (このIDを非表示/違反報告)
むらさきジャス民(プロフ) - ne_iroさん» 紙袋をぎゅっとしてる時、キラキラおめめを想像して貰えると嬉しいです💚笑 こちらのお話がかなり久しぶりになってしまってたので、ちょこちょこ載せていきたいなって思ってます😁 (2022年7月20日 13時) (レス) id: ac88e2bdd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：JWpurple
| 作成日時：2022年1月3日 10時
