むらさき色のお話② (ページ29)

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③ ページ29

緑side

濱ちゃんと別れて1ヶ月が経った。

別れても仕事では顔を合わせるわけで、濱ちゃんも俺も出来る限り今まで通りに接していた。
話もするし、スキンシップだってする。
メンバーがいる前では。

メンバーも俺らが別れた事に気付いているだろう。
その上で、今までと変わらずにいてくれている事に申し訳無さと、感謝の気持ちでいっぱいになる。
あ。のんちゃんだけは濱ちゃんに更に当たりがキツくなったかな。

濱ちゃんへの気持ちは今も変わらない。

「俺の事好きなら別れて」

そう言われたら別れるしかないやん。

なぁ濱ちゃん。
なんで別れてって言うたん？
どうして理由を言うてくれへんの？
今も大好きやよ。

赤「…ちゃん」

赤「神ちゃん！！」

目の前がしげのドアップでいっぱいになる。

「ぅわっ！え、しげ何？！」

赤「神ちゃん大丈夫か？ぼーっとしてんで」

楽屋には俺としげの2人だけ。

「あ、うん、…っと、頭んなかにメロディーが浮かんどった」

赤「…ﾁｯ、ちゃうやん」

「え？」

赤「まっちろい顔して、そんな痩せてもうて、何言うてんねん」

ハッとして思わず顔を背ける。

赤「…俺、神ちゃんのそんな姿見てられへん。濱ちゃんと…別れた、んよな？」

「っ！」

赤「あ、ごめん！…心配やねん、ほんまに。濱ちゃんも変やし。
何があったか知らんけど、俺は二人とも大好きやから、めちゃめちゃ悲しい」

そう言って、眉間をグッと寄せて唇を噛むしげ。

あぁ…ごめん、しげ、そんな顔させて…。

緑「…濱ちゃんと別れて、正直しんどいねん。寝れへんしご飯も美味しくない。一人になると、何かに押し潰されそうになって苦しくて仕方ない。……ふふ、ほんまの失恋て苦しいんやな。こんな感覚知らんかった。今度は失恋ソングも書こうかな笑」

そう言ってしげを見ると、顔を真っ赤にして静かに涙を溢していた。

「え？！しげ？！」

赤「ごめ…、濱ちゃんの事まだ好きなんやな」

「……うん、好き。…大好き」

一生大好きな、
俺の初恋の人やねん。

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