むらさき色のお話② (ページ25)

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スタートライン｜青story① ページ25

紫←桃+青

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青side

桃「好きになったらあかん人を好きになった事ある？」

飲んでいる時、唐突にそんな事を尋ねられる。

「え…、不倫はあかんぞ、マジで」

桃「ちゃう！そんなんやなくて！…仕事関係とか、その、身近な人とか…お、男の人とか…」

あー、なるほど。

「俺、男もイケるって言うてたっけ？」

桃「えぇっ？！知らん！初耳や！」

店内に望の大きな声が響く。

「大声出すなて」

桃「ご、ごめん！」

背中を丸めて小さくなる。

「んまぁ、俺の場合は昔から性別関係なく、芯の通った大人に惹かれる。そんで、美人な。やから、性別で好きになったらあかんとかは考えへん」

望は何も言わず、じっと俺の目を見ている。

「この業界におったら仕事関係の人を好きになる事の方が多いんちゃう？寧ろ、一般人となんてなかなかないやろ。不倫は絶対にダメやけど、相手がおる人を好きでいるのはあかんくない、かなぁ？」

望は相槌を打つこともなく、ただただ俺の話を聞いていた。

「で、なんなん？なんか言えや。俺ばっかりで恥ずいやん」

ぺしっとデコを叩く。

桃「そ、そやな。えっと…例えば…例えばやで！流星は事務所の人を好きになった事はある？」

うーん。回りくど。
素直に言うたらええのに。

「告白してへんけど、好きになった人はおんで」

桃「ほ、ほんまっ？！その人、どしたん？！」

「…うるっさ。相手は先輩やったし憧れだけで終わったなー。その人は可愛らしい彼女さんおった。たぶん、ノンケ…男には興味ない人やったと思う」

桃「え…彼女さんおったから諦めたん？」

「付き合い長かったし今更俺が入る隙は全然なかった」

結婚するって噂聞いたし。

「まぁ、その人の場合はやけどな。相手おる人を好きになって、奪ったこともあんで。フラれた時に、仕事がうまく行かんくなったり、自分のメンタルがダメになるんやったら言わん方がええんちゃう？」

チラと望に視線を向ける。

「恋愛でボロボロになってたらこの仕事はでけへんやろ」

あからさまに落ち込む望。

でも

「濱ちゃんは大丈夫やと思うけどな。もしフラれたとしても今まで通りに接してくれそうやん」

望のでっかい目が落ちそうになる。

「気付いてへんと思っとった？」

桃「う…みんな気付いとる？」

「濱ちゃんは絶対に気付いとらん。神ちゃんは気付いてそやなぁ」

桃「うわぁぁ！まじかぁぁ！はずー！」

望は顔を赤くし、頭を抱えて机に突っ伏してしまった。

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