気高き誇り ページ3
No side
深い藍に染まる夜空の彼方に上弦の月が
女を見下ろしていた。
大きな月の陰がニンマリと嗤っているかのように。
「……綺麗な所よね、ほんとに。」
大海原のど真ん中に立ち尽くす彼女の足は
少しだけ沈んでいた。
まるで、何処にも逃がさぬようにと。
「…失敗、しちゃったなぁ。」
彼女が思い描いた通りならば、今頃は前世の世界
へと赴いていたはずだった。
然し、それが無く目の前に広がるは凪の海。
「…間違えてしまったのね。」
戸惑いは無かった、だがもう届かない生きた世界
を思うと拭いきれない感情があった。
なんの清算も出来ないまま、また同じように…。
繰り返し旅立つしか無いのか?
新たな世界でもう一度と生を受けるのだろうか??
「……そんな都合が良いことなんて無かった。
いいえ、出来ることなら私は…戻りたい。」
＿＿＿＿帰って、護らなけらば。
三門を、ボーダーを…みんなを。
戦わなければ 、そして救わねば……。
彼との約束を守らなければ。
募る思いは後悔だらけだった。
きっと、何度繰り返しても彼女は後悔だけを
抱えて死に逝くのだろう。
僅かな未練と後悔…。
それでも、そうだったとしても彼女は認められ
無かった…受け入れられなかった。
「死ねない…まだ、死ねないｯ……!!」
間違った選択だったのかもしれない。
それでも戻らなければ、帰らなければ。
もう二度と失う訳にはいかないのだ。
「これが、この感情こそが私の誇りなのだから。」
譲れない、譲ってなるものか…!!
約束を違えてしまいたくない、もう一度あの
恐怖が迫りくるのだ……護らねば。
雪の炎を狙い、異次元から進撃してくる裏社会
の闇を退治しなければ。
いつだって彼女を奮い立たせる感情は、失うこと
への恐怖だった。
だから今も、譲れない誇りの為に彼女は抗う。
彼女の心を蝕むように荒れ狂い始める波は
運命そのものだったかもしれない。
しかし、彼女の覚悟は強かった。
誇りが彼女を強くする。
「＿＿＿＿運命に抗ってこそ、でしょ!!」
水底から膨れ上がる闇を祓うように、彼女は
強かに笑ってみせた。
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唄詠(プロフ) - はらぺこあおむしさん» 期待に添えられるような力かは分かりませんが、頑張ります！応援ありがとうございます!! (2019年6月13日 23時) (
レス) id: ea4e738573 (このIDを非表示/違反報告)
はらぺこあおむし(プロフ) - ぎゃー、夢主ちゃんとうとう力の全てを出す感じですか？長かったような短かったようなまだまだ楽しみにしています (2019年6月12日 22時) (レス) id: e8dc64ea52 (このIDを非表示/違反報告)
唄詠(プロフ) - 秋が生き易いさん» ありがとうございます!!私も夢主ちゃんを描いていてとても楽しいので、そう言って頂けると嬉しいです。これから更新頑張ろうという気持ちになります。 (2019年5月26日 1時) (レス) id: ea4e738573 (このIDを非表示/違反報告)
秋が生き易い - 夢主にマジ惚れる。惚れてまうやろぉぉぉぉぉ！ (2019年5月24日 0時) (レス) id: 1a136e5fb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：唄詠 | 作成日時：2019年5月18日 22時
