ボクは憂鬱キミは不機嫌2章【REBORN】 (ページ38)

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いつかの君2 ページ38

「このままじゃ…みんなダメになる。
犬も千種も…骸様も!!
助けたいのに、私じゃ力になれない。」

手入れのされていない植物園は緑で
生い茂っていて私達を世界から切り離したようだった。

涙を流す彼女に、大切な人の力になれない
もどかしさに悔しがる声は人には聞かせられ
ない声色。

「ねー、凪…昔話をしようか。」

「…?」

「凪が事故に遭う前にボク達が会ったの
覚えてる?」

公園で1人佇むキミにボクはいつかの自分と
重ねて声をかけた。

でも、怯えるようにボクを見たキミの目を
見て視てしまったんだ。

…後悔した。
だけど、それ以上に救わなければと思ったよ。
何でって聞かれたら分からなかった、当時はね?

「今なら分かる…ボクをあの場所から連れ
出してくれたら骸の為なんだって。
キミもボクもどうしてなんだろうね…。
彼が凄く…大事に思える。」

救われたから…こんなボクに手を差し伸べて
くれたから。
キミもそう、命を助けてもらった。
けどそれだけじゃ無い。

骸の不器用な優しさを誰よりも知っているから。

「キミが事故に遭う直前だったのは多分運命
なんかじゃなく必然だったんだよ。
この日の為だと信じて…だから。」

だからボクを信じて今だけ。

「＿＿＿＿今だけ、骸を忘れて。」

揺れた瞳を見つめる。
泣きそうな顔をするキミの面影が
昔のボクと重なる。

…いや、違う。
ボクは絶望はしたけれど希望なんて見なかった。

縋りたくても縋れなかった。

でもキミにはボクがいる。
痛いほど分かるから凪の気持ち。

「凪…ボクだけを見て。」