ボンゴレ10代目の妹はWTの世界に転生したそうです。【第4幕】 (ページ7)

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泡沫の追憶2 ページ7

「…(名前)………ちゃん。」

昔の癖が抜けなかった。
そうやって呼んでいたから。

歳を取ったことを思い知りたくなくて、
昔のように呼んだ。

掠れた声は震えていて、らしくなくて…。
でもそんなこと考える余裕なんてなくて
ただ彼女の名前を綴った。

「…………けい…?」

栗色の髪を靡かせて、澄んだオレンジの瞳を
見開き、俺の名前を囁く彼女に高揚した。

あぁ……やっぱり彼女なのだ。

容姿が変わっていても彼女は彼女のままだった。

「久しぶり、(名前)ちゃん。」

「慶…何でボーダーに……?」

「分かんない、気付いたらここまで来てた。」

「何それ……天然なところは変わってないのね、慶?」

呆れがちに笑う彼女は……綺麗なままだ。

俺が知る、美しいと思える景色だ。

彼女の微笑みだけが俺を突き動かす。

「また…会えるとか、思ってなかったから。
なんて言えばいいのか……分かんねぇや。」

「そうね、私もよ。」

「生きててくれてありがとう…!!」

「……ずっと私を探しててくれたのね。
きっと貴方くらいよそんな事してくれるのは。」

俺の心を見透かしたように、優しくそして
心苦しそうに微笑む彼女を俺は抱きしめた。

もう、何処にも行かないでくれ…。

俺を置いて行かないでよ(名前)ちゃん。

「……何度だって俺は探すよ。」

もうあんな思いしたくないから。
だから、どうか……遠くへ行かないで。