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松本「その……なんつーの？ …………ありがとう、智」
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仲直りした帰り道、初めて松本はかさぶたの名前を呼びました。
かさぶたは嬉しそうに笑いました。
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大野「良かったじゃねぇか、仲良くやれよ？」
松本「うん」
大野「これで俺も安心して消えられれ……、あれ？消えらるる……あれ？」
松本「…………え？」
大野「消え、消え……あーもう！噛む！！ 言いにくいな！！」
松本「え、どういう、意味……」
大野「だから！ 消えられるってもんだ！」
松本「消える……？」
大野「あ、言えた♪」
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「らりるれろが続くと言いにくいな！」とかさぶたは独り言を言っていましたが、松本はそれ所ではありません。
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松本「ちょ、待って。待ってよ。なんでだよ」
大野「え？」
松本「何で消えちゃうんだよ！」
大野「何言ってんだよ、そりゃそうだろ。 俺、かさぶただもん。 傷が治ったらそりゃ消えるよ(笑)」
松本「でも……！」
大野「そんなん言うけど、気付いてただろ？ 俺がちっちゃくなってきてんのを、さぁ……」
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大野の言う事は尤もです。
ですが……ですが、松本は信じたくありません。
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大野「なんだよ、泣くなよ。せっかく笑ったのにさぁ(笑)」
松本「だ、だって……」
大野「ふふ(笑) 俺がこの膝小僧に生まれてきて、ずーっと眉間に皺よりっぱなしだったもんなぁ」
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大野は「最後にちゃんと、お前が笑ってるの見れて良かったよ」と言いました。
それから。
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大野「まあ、友達と仲良くなれよ。俺の事はいいからさ」
松本「……っ、……！」
大野「泣くなよ〜〜〜〜(笑) 俺、シアワセだよ？ 生まれた場所がお前の膝小僧で」
松本「……っ、っ！！ 〜〜〜〜〜〜！」
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「俺、智！」と。
膝小僧に現れた日が、まるで昨日の事のようですが─────友達と喧嘩して、膝小僧をすりむいてかさぶたが出来てから、何日も何日も、もう経っておりました。
松本の心の傷が治ったように、膝の傷だって治るのに、充分な時間が経っていたのです。
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作者名：12（とうふ）
作成日時：2014年8月17日 3時
