……06 ページ15
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ちゃぷん、ちゃぷん。
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男が櫻井の涙の中を歩いて、歩みよると、涙がゆらゆらと水面を揺らしました。
ちょうど、さっきまで扉をドンドンと叩いて、水面を揺らしていた時のように。
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相葉「翔ちゃんに、笑顔をもってきたよ♥」
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男はズビッと鼻水をすってそういうと、「はい！」と。
小さな小さな鏡を取り出して、櫻井に突き付けてきました。
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櫻井「え……？」
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訳がわからず。
裏切られたと思っていたのに、そうじゃなくて─────彼は彼が考える最善の、最短の方法で自分のもとへ来てくれたのだと思うと、櫻井が胸がいっぱいです。
謝意なのか、それとも謝罪なのか。
何の言葉を、どう口にすればよいのか、頭の良い櫻井でもすぐには解らず言葉を詰まらせていると、男は「うひゃひゃ」、と楽しげに笑って言いました。
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相葉「ほらね？ 翔ちゃん、男前が台無しだし(笑)」
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「ちょーウケる(笑)」、と。
そう言われて櫻井は、改めて自分の顔を見ました。
成程、言われてみたら─────泣いて腫れた目や、頬を伝う涙を乱暴に拭った為に真っ赤になった頬。
どこからどうみてもアンパンマンです。
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櫻井「……ばっかじゃねぇの……」
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「そんな事？」と、櫻井は呆れました。
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櫻井「そんな事、言う為にオマエ……そっから入ってきたのかよ…………」
相葉「え？ だっていれてくんないんだもん(笑)」
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「俺は翔ちゃんを笑わせたいのに！」と。
扉の向こうで見えなかった筈なのに、何だかどこかで知っている様な彼の笑顔をみて、笑いました。
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櫻井「うん、確かに笑えるわ(笑)」
相葉「でしょ〜〜〜〜？(笑)」
櫻井「つーか、『てめぇの顔が酷くて笑える』とか、だいぶ酷いな！(笑)」
相葉「うひゃひゃ♪」
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櫻井は小さな声で「笑わせてくれて、ありがとう」、と、言いました。
それを聞いた彼はにっこりと、太陽のように微笑み「そんなこと！」と笑い飛ばしました。
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相葉「だから俺、言ったじゃん！ 翔ちゃんの事、笑わせに来たんだって♪」
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「笑ってれば、楽しくなるよ」と、彼はやっぱり笑顔でそう言うと。
櫻井も「……だな、」と、櫻井も一緒に、今度こそ笑ったのでした。
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That's all!!
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作者名：12（とうふ）
作成日時：2014年8月17日 3時
