……04 ページ13
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櫻井「………………なぁ、」
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低い声で、先に泣き言以外の声を発したのは、櫻井の方でした。
櫻井は、ゴクリ、と唾を飲み込みました。
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櫻井「あのさ……、今でも俺の事、笑わせるつもりなのか？」
相葉「そりゃあ……！」
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櫻井のその声に、間髪入れずに返事は帰ってきました。
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相葉「だって俺、それだけが生きがいなんだもん！ 笑わせないと帰れないし！！」
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櫻井はその帰ってきた、そのブレない返事にひどく安心しました。
そうしてもう一度、鼓膜から入ったその音をゆっくりと自分の中で昇華すると、意を決して言ってみました。
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櫻井「あのさ……？ 実は……」
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櫻井はゆっくり、ゆっくりと。
まるで詩でも紡ぐ様に続けました。
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櫻井「今では俺、部屋にオマエを入れてもいいと思ってんだ」
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じゃあ、なぜ？
どうして、櫻井は扉を開けてはくれないのでしょうか？？
その疑問を待たずに、櫻井は続けます。
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櫻井「でもさ、あの……困った事にドアが開かねんだよね」
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それもその筈です。
櫻井が泣いて泣いて泣いて、泣いて出来た水は大洪水になっていて。
その涙の水圧で扉がビクともしないのです。
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櫻井「だから……、だからさ……？ その……悪いんだけど、そっちから押してくんない？」
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少し恥ずかしい思いをしながら、櫻井はようやく、そう言えました。
…………所が。
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櫻井「なあ……？」
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所が、返事がありません。
返事所か、物音ひとつしません。
櫻井は持たれていた扉を振り返って、みやりました。
彼がいた時だって、扉があって見えるはずもなかったのですが……
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櫻井「え……おい、まさか……」
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今だって、扉でいるのかいないかなんてわからないのですが……
それでも、櫻井には解りました。
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─────扉の向こうには、誰もないのだと。
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作者名：12（とうふ）
作成日時：2014年8月17日 3時
