another story9 『鳴り響く音』 ページ10
〜貴方side〜
話の途中で家を飛び出した俺は、夜道を歩きながら一人ため息をついた。
写真やビデオを見た日から、毎日見る夢の形が変わった。
朝、目を覚ましても夢の内容は覚えているし、出てくる青年の顔をハッキリと分かる。
そして何故か、
どんなに楽しい夢だったとしても、最後は涙を流し一人になった自分の姿が現れる。
どうなってるんだ。
訳が分からない。
どうしてこんな夢を見る。
どうして、今まで見てきた夢が急に形を変えたんだ。
((ﾌﾟﾙﾌﾞﾙﾌﾟﾙ
一人悩みながら歩みを進めていると、ポケットに入れたスマホが音を鳴らす。
ディスプレイを確認すると"奥村英二"という名前が表示されていた。
「もしもし」
『Aか？』
電話越しに聞こえた声に心臓が一気に跳ねる。
「……アッシュ」
『今、何処にいる？』
「もう家の傍だよ」
『そうか……』
無言な時間に息をのむ。
「用が無いなら、もう切るよ。そろそろ着くから」
そう言いながら俺が訪れたのは、家では無く、誰も居ない静かな公園。
『英二からAは立派なマンションに住んでると聞いたんだが』
「別に普通のマンションだよ。言う程立派じゃない」
『確かにな。此処にそんなマンションがあるとは思えないし、見当たらないな』
「え？」
アッシュの返答に違和感を感じ、俺は当たりを見渡す。
すると、
『記憶を無くしても、手のかかるオニイチャンだね』
「ｯ?!…アッシュ?!」
「お前は本当に、あの頃と変わってないな。弱ってる所を絶対に俺に見せない」
後ろから暖かなモノに包み込まれ、俺は目を見開く。
近くで聞こえるはずの無い声に、
何故か懐かしさの感じる温かさに、
「俺には言えないよな。今のお前からしたら、俺はただの知り合い程度の人間だもんな」
噛み締める様に紡がれる言葉に胸の奥がチクリと痛む。
「言いづらいのは分かってる。でも、一人で抱え込むのだけは止めろ。英二だっているんだ。誰かに相談くらいはしろ」
「別に……」
「お前の記憶が無い二年間、俺はずっと傍にいたんだ。だから分かるさ、嘘ついても無駄だ」
囁く声の優しさに止まっていた涙が、また流れる。
自分でも、この涙の理由が本当に分からない。
なのに、
お前はどうして、こんなに優しく受け止めようとしてくれるんだよ。
another story10『月明かりの下』→←another story8 『疑惑』
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エリンギ - 初コメです。私は20代ですがこの作品が本当に大好きでちょこちょこ更新してないかなーと思って見てました。今日開いたら更新してたので最初から読み直して更新分を楽しもうと思います。更新楽しみにしています、自分を大事に頑張ってください！ (2月27日 22時) (
レス) id: 6d5f28664b (このIDを非表示/違反報告)
ライ - 初コメ失礼します。とりあえず言えることは最高でした！！続きが気になって仕方ありません。ですがお忙しいのかと思われますので、無理のない範囲で更新楽しみにしています！頑張って下さい！！ (12月8日 23時) (レス) id: f3bce32c70 (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - 初コメ失礼します。BFと同時進行で読んでたのでもう苦しすぎて……。お願いします、続き書いてください！あと、ユエルンくんとかシンくんもまた出てきたら嬉しいです！最後になりますが、素晴らしい作品をありがとうございましたっ (2023年1月25日 11時) (レス) @page17 id: a9705677e6 (このIDを非表示/違反報告)
A - 初めまして。一気に読んでしまいました笑こんな未来があったらいいなと幸せな気持ちになりました！続きも楽しみにしています(≧∀≦) (2023年1月6日 5時) (レス) @page17 id: d2b1f0465c (このIDを非表示/違反報告)
ココなし(プロフ) - 初めまして。この作品が本当に好きで時間を忘れて何度も読み返してます！素敵な作品をありがとうございます！！をとにかく伝えたくてコメント失礼します！お身体にお気を付けてお過ごしください (2022年1月29日 16時) (レス) @page11 id: 3932394f6b (このIDを非表示/違反報告)
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