another story12『もう逃がさない』 ページ13
〜アッシュside〜
Aが風呂から上がってくるのを、テレビを見ながら待っている最中に、俺は棚の上にある一つの箱に目をつけた。
さっきは、ビデオがあったし、今回は何が入ってるのかな〜。
興味本意で箱を降ろし、中を見てみる。
すると、そこには予想外の物が入っていた。
「写真……」
ニューヨークで英二が撮っていた写真が入っており、その中の一枚だけが不自然に折り曲がっていた。
何の写真だろうと手に取ると、
俺とAが肩を組み笑っている写真だった。
他にも俺とAが写る写真には、水で滲んだ後があったり、折れ曲がったり、
「見たのか……」
これらの写真を見てAは、どう思ったんだろう。
様子が可笑しかったのも、もしかしたらこの写真を見たのが原因なのか？
「まだ寝てなかったのか？」
「……A」
何時の間にか風呂から上がったAは、俺を見た後、広げられた写真を見て表情を曇らせた。
「何か言いたそうだな、アッシュ」
聞いてもいいのか。何か思い出したのかって、
俺が聞いたら何て答えるんだ、お前は。
「アッシュ」
「ん？なんだよ」
「もう忘れてくれ」
静かな部屋に響いたAの声が震えているのが分かる。
拳は色が変わるくらい強く握られ、顔を見ると昔と同じように唇を噛んでいた。
「写真を見たって、話を聞いたって、アッシュに会ったって、俺は何一つ思い出せなかった」
紡がれる言葉一つ一つに、Aの気持ちが込められているのが分かる。
「その度に落ち込む英二や家族を見るのが辛い。それに何より……」
「何より？」
「アッシュの顔を見る度に胸が痛くなるんだ。忘れたことへの罪悪感とか、他にも理解出来ない感情が入り交じって……」
幾ら見た目が変わっても、記憶が無くなっても、Aの本質だけは何一つ変わってない。
だから、何か隠してるのも分かるんだ。
「A、一つ聞きたい」
「なに」
「本当に何一つ思い出してないのか？本当に無くなった記憶に関する事を何一つ」
「何が言いたい」
「隠してるだろ。英二は騙せても、俺は騙されない」
交差する視線が酷く揺れる。
気づいてないフリをしてやった方が良いのかもしれない。
だけど、もう逃がさない。
another story13『記憶の欠片』→←another story11 『一人暮らしの部屋』
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エリンギ - 初コメです。私は20代ですがこの作品が本当に大好きでちょこちょこ更新してないかなーと思って見てました。今日開いたら更新してたので最初から読み直して更新分を楽しもうと思います。更新楽しみにしています、自分を大事に頑張ってください！ (2月27日 22時) (
レス) id: 6d5f28664b (このIDを非表示/違反報告)
ライ - 初コメ失礼します。とりあえず言えることは最高でした！！続きが気になって仕方ありません。ですがお忙しいのかと思われますので、無理のない範囲で更新楽しみにしています！頑張って下さい！！ (12月8日 23時) (レス) id: f3bce32c70 (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - 初コメ失礼します。BFと同時進行で読んでたのでもう苦しすぎて……。お願いします、続き書いてください！あと、ユエルンくんとかシンくんもまた出てきたら嬉しいです！最後になりますが、素晴らしい作品をありがとうございましたっ (2023年1月25日 11時) (レス) @page17 id: a9705677e6 (このIDを非表示/違反報告)
A - 初めまして。一気に読んでしまいました笑こんな未来があったらいいなと幸せな気持ちになりました！続きも楽しみにしています(≧∀≦) (2023年1月6日 5時) (レス) @page17 id: d2b1f0465c (このIDを非表示/違反報告)
ココなし(プロフ) - 初めまして。この作品が本当に好きで時間を忘れて何度も読み返してます！素敵な作品をありがとうございます！！をとにかく伝えたくてコメント失礼します！お身体にお気を付けてお過ごしください (2022年1月29日 16時) (レス) @page11 id: 3932394f6b (このIDを非表示/違反報告)
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