another story11 『一人暮らしの部屋』 ページ12
「ちょ、ちょっと此処で待ってて」
「はぁ？何でだよ」
「いいから」
家に着き、玄関の前まで来た所で俺はアッシュの進みを止める。
男の一人暮らしの部屋が毎日綺麗に片付いているかと聞かれたら、俺は即答しよう。
そんなことはない！
まさしく、俺の部屋は今散らかっている。
「少しだけ時間をくれ。部屋を片付ける」
「別に汚くてもいいよ。俺も手伝ってやるから、早く片付けよう」
「いや、待て！ちょｯ！」
俺の制止の声も聞かず、アッシュはズカズカと家の中へ上がっていく。
俺は慌ててその後を追いかける様にリビングへと入り、立ち止まるアッシュが手にしてした物を見て絶句した。
「へぇ〜オニイチャン、こんな女が好きなんだ」
「そんな目で見ないでくれ」
つい先日、同期に借りた"ある"DVDを靡かせながら冷たい目で俺を見るアッシュ。
何時もは出しっぱなしに何てしてないのに、どうして今日に限って机の上に置いてあるんだ、俺！
「オニイチャン、詳しく説明してくれる？」
「説明ですか……」
「どうしてこんな物が机の上にあったのか」
「いや、それは……けｯ、健全な男には必需品だろう！」
「ほぉ〜開き直りか」
「開き直りとかじゃ無くて、普通のことを言ってるだけだ！というか、そろそろ返せよ！」
DVDを奪い取り、棚の中へと直す。
シャワーを浴びてくるようアッシュに言い、俺はその間に部屋を綺麗に掃除する。
そして、
「随分と頑張ったね、オニイチャン」
「……本当にな。俺も風呂入るわ、ベッド使って良いから、早く寝ろよ〜」
それだけを言い残し、俺は風呂へと向かった。
脱衣所で服を脱ぎ、鏡に写る自分の体を見る。
覚えのない無数の傷跡が残る体。
これはきっとニューヨークでの生活の中で出来た傷なんだろう。
今まであまり気にしない様にしていたが、アッシュが来てから、無くした記憶の事が気になって仕方がない。
俺はどんな風に写真に写る彼らと出会ったのか、
どんな生活をおくっていたのか、
俺にとってアッシュは、どういう存在だったのか。
知りたい事は山積みだ。
だけど、それらを知る事が怖いとも思う。
はっきりしない自分の性格も、考え方も、気持ちも、全部全部嫌になる。
another story12『もう逃がさない』→←another story10『月明かりの下』
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エリンギ - 初コメです。私は20代ですがこの作品が本当に大好きでちょこちょこ更新してないかなーと思って見てました。今日開いたら更新してたので最初から読み直して更新分を楽しもうと思います。更新楽しみにしています、自分を大事に頑張ってください！ (2月27日 22時) (
レス) id: 6d5f28664b (このIDを非表示/違反報告)
ライ - 初コメ失礼します。とりあえず言えることは最高でした！！続きが気になって仕方ありません。ですがお忙しいのかと思われますので、無理のない範囲で更新楽しみにしています！頑張って下さい！！ (12月8日 23時) (レス) id: f3bce32c70 (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - 初コメ失礼します。BFと同時進行で読んでたのでもう苦しすぎて……。お願いします、続き書いてください！あと、ユエルンくんとかシンくんもまた出てきたら嬉しいです！最後になりますが、素晴らしい作品をありがとうございましたっ (2023年1月25日 11時) (レス) @page17 id: a9705677e6 (このIDを非表示/違反報告)
A - 初めまして。一気に読んでしまいました笑こんな未来があったらいいなと幸せな気持ちになりました！続きも楽しみにしています(≧∀≦) (2023年1月6日 5時) (レス) @page17 id: d2b1f0465c (このIDを非表示/違反報告)
ココなし(プロフ) - 初めまして。この作品が本当に好きで時間を忘れて何度も読み返してます！素敵な作品をありがとうございます！！をとにかく伝えたくてコメント失礼します！お身体にお気を付けてお過ごしください (2022年1月29日 16時) (レス) @page11 id: 3932394f6b (このIDを非表示/違反報告)
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