貴方と私のアバンチュール２【新・信長公記】

第五十七話 ページ12

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『待って！！………明智くんはもう、表の道を歩めてる！自分の意思が、もうちゃんとあるよ！……だから』
「日の当たる道を歩いている君には分からないよ、僕の気持ちなんて」
『っ………！！』
「知らないんだ、知っているつもりだったとしても。その僕を思ってくれる行為こそが、僕は日陰の道だと分からされるんだ」
『………………』

苦しそうな顔をして言った明智くんに、もう言葉が出なかった。
私はその喪失感にゆるゆると腕を掴む力を緩めてしまい、その間に明智くんは足早に部屋を出ていってしまった。
「……是非に及ばず」

僕の気持ちなんて……分からない。私じゃ。
確かに、明智くんの気持ちは分からないけど。けど……

目の前に大きな壁が立ちはだかったように、彼が見えなくなってしまった。



…………ダメ、だったんだなあ。
昨日まではあんなに笑って、仲良く話していた…筈だったのに。
…でも、その行為自体が明智くんを傷付けていたなんて。
悔しさに打ちひしがれていると、校内放送が鳴り、明智くんが降伏したという報告があった。
いてもたってもいられなくなった私は、図書室から出て走り出した。

＿＿＿怖かった。あの空間にいたら、昨日の記憶が蘇って苦しくて涙が出そうだったから。
誰からも逃げようと必死に走ったのに、結局行き着いたのは皆のいる教室だった。

私がドアの前に立ち尽くしていると、皆がその存在に気付き、驚いたように私を見た。
「A、ちゃん……」
その張り詰めたような声すら嫌になって、溢れた涙を拭うこともせず、再び教室から走り出た。
きっとどこに居たって辛くなるだけだ。ならいっそ、もう授業をバックレて家に帰っちゃおうかな……なんて。

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