貴方と私のアバンチュール２【新・信長公記】

第五十六話 ページ11

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『え？あの家康くんが…？』
「家康くんが負けを認めた？」

「お前達ゴミに勝っても意味が無いからだ」
「俺たち同盟にビビっただけだろうが！」
酒井くんがそう言い返した時、徳川くんが声を張り上げて怒鳴った。

「俺たち……俺たち…たち、たち、たち！
群れるな！！このゴミ共が！！"たち"という考えを捨てろ。いいか？お前の人生は誰のものだ？誰でもない、お前自身そのものだ！」
まるで誰かに一人に向けてそう言うように、徳川くんは言葉を続ける。

「なぜ手を取り合う、なぜ徒党を組む？喜びも悲しみも分かち合うことは出来ん。所詮は！弱者の戯言。
死ぬ時は一人だ。他者を見るな！お前は！お前だけの人生を生きろ。覚悟を決めろ！！強さを！一人で生きていく強さを持て」

ああ、これは明智くんに向けての言葉なのか。
気付くのが遅れてしまった。明智くんの方を見ると、先程徳川くんが言った言葉を小さく復唱していた。
明智くんの中で何かが、強く揺らいでいる。

「だが、一人で生きていく覚悟を決めても孤独に打ちひしがれることもあるだろう。そんな時には……俺を見よ。俺の背中を見よ。俺が道を作る！お前は！！……そのあとを歩け
俺が作った道を、お前が歩んだ道を、表に変えてやる」
『ちが、ずっと裏の道なんかじゃ』

「違うか！？明智！！！」

急いで名前を呼ばれた明智くんの方を見れば、彼は顔を上げて何かを決めたような顔をしていた。
「……道、」
その間に徳川くんはバイクで走り去って行った。


「明智くん…？」
みやびちゃんの声を無視し、どこかへ行こうとする明智くん。
その腕を、すかさず信長くんが掴んで止める。

「何処へ行く」
「僕は…人の目を気にしながらずっと生きてきた。日陰の道。でも僕は、日の当たる道を歩きたいんだ！だから、だから……僕は変わりたい。強くなりたい！」
その言葉と共に信長くんの腕を振り解き、また歩き始めようとする。

「裏切るのですか！？」
「裏切るんじゃない！！…これ以上、自分を裏切りたくない！自分に正直に生きたいから……僕は…！」
私は慌てて彼の腕を掴んだ。

今度こそ、離さないように。

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