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「Aシャオちゃんに酷い目に遭ったんやろ?災難やなぁ」
『うーん、力の加減が…』
いつからそんな制度が出来たのか、お風呂上がりの私の髪の毛をドライヤーで乾かす、なんて物が許可なく出来ていたらしい。
そして今絶賛鬱に乾かさられており、人にやってもらうのなど子供以来であるのでなんだか落ち着かない。視線を彷徨わせていると鏡越しに彼と目が合った。
「そんな緊張せんでも取って食べはせんよ。……して欲しいならいつでも、」
『ロボロぉっーー!!』
鎖骨に手が這わされ始め、ぞわぞわと嫌な予感がよぎった私はこういう時の対処法であるロボロを召喚する。
ドライヤーの音で多少は掻き消されたが、彼は耳が良い。すぐさまペタペタと裸足でフローリングを歩く音が間近で聞こえて脱衣所の扉を開けられた。
「大先生、お前何回目やねん!!」
「んー??2、3回目とちゃう?」
「桁があと2、3個足りひんわッ!」
ロボロはドライヤーを奪い取って電源を消すといつものように鬱をみんなのもとへと連れて行く。多分裁判が行われるのだろう。
結果はいつも同じ、10対1の有罪。無罪を唯一主張するコネシマは腹を抱えながら笑っているらしい。
ひらひらと汚い悲鳴を上げながら消えて行く彼らに手を振ってまだしっとりと湿っている髪の毛を乾かそうとしたが背後からドライヤーを奪い取られた。
「髪の毛なら僕が乾かしますよ!」
『裁判はいいの?』
「いやどうせ有罪やろ」
ニコニコと好青年の笑みを浮かべるチーノはさらりと毒を吐いて座って座って、と椅子をポンポンと叩いた。
折角の好意をドブに捨てる訳にはいかないか、とお言葉に甘えて乾かしてもらおうと座ると鬱とはまた違う優しい手つきにご飯を食べた事も相まって少々うとうとしてしまう。
気を遣っているのかは知らないが、いつもは話しかけてくるチーノも静かにしていた所、脱衣所の扉がまた開けられた。
「A、チーノ知ら…あ、おった」
「ショッピお前…あとちょっとでA寝そうやったんに…!」
「あ、すまん、ワイは毎晩Aの寝顔拝めるから」
裁判に中々来ないチーノをショッピは呼び出しに来たのだろう。
しかし眠たくて彼らの会話も耳に入っては片耳から丸々抜けてしまうほどに意識が飛びかけていた。
糸が切れた人形のようにカクンと全身が前に倒れると紫に支えられる。
「美味しい所盗りやがってぇ!」
「さーて裁判はサボろ」
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きつね君。(プロフ) - かなり前に完結してしまったようですが、改めてこのようなまぢ神作品を世に送り出してくれておりがとうございます!!!完結おめでとうございました(??) (2023年4月14日 0時) (レス) id: f4cd021470 (このIDを非表示/違反報告)
きつね君。(プロフ) - ヤンデレってたりヘラってる子達が性癖だったので、このような作品に出会えてうれしいの極みです!R指定作品を読んだのはこの作品が初めてなのですが、もう表現力も高すぎるし設定がまず神だったのでひとりでニヤニヤしてました() (2023年4月14日 0時) (レス) @page33 id: f4cd021470 (このIDを非表示/違反報告)
りこち(プロフ) - 色々とどストライクでした!ご馳走様です!!可哀想可愛いは正義!!!! (2021年2月28日 15時) (レス) id: 7094782543 (このIDを非表示/違反報告)
青年A(プロフ) - マイソさん» ありがとうございます、どうぞどうぞこれからもうはうはしてください(笑)何気なくつくった作品をそう言って頂けて大変嬉しいです! (2021年1月3日 15時) (レス) id: 071d1f2325 (このIDを非表示/違反報告)
マイソ - す! (2021年1月3日 14時) (レス) id: 05f946baf6 (このIDを非表示/違反報告)
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