ここはロマンス大通り【ars】 (ページ27)

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「シャワー浴びて良い？」
「自分の部屋で浴びたら良くない？」

すぐ上の階に住んでるんだし。

「はい、A。クロちょっとパス」

玄関で私にクロを渡した彼は、Tシャツを脱ぎながら部屋に上がって行って洗面所に入る。
そして暫くすると、洗面所からヒョコっと顔だけ出して「クロちょーだい」って手招き。

「クロも汚れたから一緒に洗うわ」
「うん」
「あ、あんまり覗き込まないでよ？もう全裸だから」

パチン、とウィンク。
その後に、照れたようにはにかむ。
自分でしたくせに、何だそれ。

萌え殺す気か。

クロを二宮くんに返して、私はリビングに戻った。

お風呂場から小さく響いて来るシャワーの音を聴きながら、さっき取り入れた洗濯物を畳む。
その中に、二宮くんの部屋着があったから洗面所に持っていくとお風呂の中から声がした。

「うわぁ！クロ！ちょっ...ブルブルするなって！ウワッハハハハ！」

.....可愛すぎるだろうて...。

あぁ、いやだいやだ。
何か私、どんどん二宮くんにハマってる気がする。

「二宮くん、着替えここに置いてるからー」
「あー、ありがとー！」

私はとりあえず声だけ掛けて、洗面所を出た。

暫くしてリビングに戻って来た二宮くんと、クロ。
二人とも、結局濡れてる。

二宮くんがうちによく来るようになって、私の部屋には彼の物が増えた。
歯ブラシとか、下着とか、部屋着とか。

そして二宮くんがうちに持ち込んだ部屋着がパイル地でボーダー柄のセットアップだったから、女子か！と突っ込みたくなった。
結構いつもダルダルな感じなのに。

あ、それから髭剃り！
これに実は一番萌えたかもしれない。
あんな女の子みたいな真っ白い肌なのに、髭は生えるのね！って。

「クロ、早く乾かしてあげなきゃ」

私がバスタオルを渡すと、二宮くんはその中にクロを包み込む。

「じゃあ、Aがオレを乾かしてね？」
「え？」
「よろしく！」

二宮くんが、ソファの前の床にペタンと座った。

「フフッ、はいはい」

私は洗面所からドライヤーを持ってきて、ソファの上で正座をして目の前に座ってる二宮くんの髪を乾かす。
彼はクロをワシャワシャと乾かす。

柔らかい髪。
ふわふわと、風をはらんで靡く。

「ねぇ、A」

ドライヤーの音に負けないようになのか、彼が少し大きな声を出したから、ドライヤーを止めて「ん？」と訊く。

「今日って何の日か知ってる？」

鼻唄を歌うような軽さで、彼は言った。