Scene6 -6 ページ6
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私という人間はあれに似ている。
さみしくて、愚かで、取り繕った花弁はきっと、あっという間に散ってしまう。
「ふ、内緒だ」
「えー」
たっぷり溜めた後、先生は私が座るベッドを見て鼻を鳴らすとニヤリと笑いながら言った。
「なにそれ」
ちょっと身構えてたのに煮え切らない回答が返ってきて肩から力が抜ける。
ため息がてらそういえば二宮先生は「んふふ」としたり顔で笑った。
「じゃあヒントっつうか、教えてやるけどさ」
ぎいと椅子が音を立てる。
くるりと私の方に身体を向けた先生は小首をかしげて私の目をのぞき込むような仕草をした。
「俺は好きな子はいじめたいタイプなんだよ」
「……はい？」
「そういうことだ。結構年季入ってたんだけどな」
よくわからないことを呟くと二宮先生はまたくるりと椅子を回転させて窓の外を見てしまった。
いじめたく…って、私一年のころから二宮先生にちょっかい掛けられてたんだけど…え…え…？
「ねぇ先生、それって、」
「ほら、そんなことよりここにいていいのか。さよならしなきゃいけない人がいるんじゃねぇの」
「……、先生が連れてきたんじゃん」
「そうだな。でもお前は出てくんだろ…この部屋をさ」
最後まで二宮先生は二宮先生だった。
私が吐く悪態を笑って流しながら、私の気持ちなんて全部知ってるみたいな顔をする。
先生が私を好きな理由を聞けなくてよかったような、聞いておきたかったような、複雑な心持ちのまま私は階段を上がっていった。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年6月6日 16時
