SideStory -2 ページ24
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「せっかく会ったし、なんかおごってやるよ」
「いりません」
「まぁそう言うなって」
たぶんこいつにはバレてるだろうと俺はあたりを付けている。
少女本人はなぜか気づいていないがこの幼馴染君は大層少女に過保護だ。
もっともそのおかげで俺は幼馴染カップルと出くわした休日の教師として一緒に居られているわけで、これは俺の計算だけど一応松本には感謝をしておかなければいけないかもしれない。
俺は少女の浴衣が見たかった。
真っ白くてふわふわで、まるでたんぽぽの綿毛のようなそれを幼馴染二人は仲良く引きちぎって食べている。
場所が水場に近いのが松本らしい。
「んー、美味しい」
「好きだよなお前」
「潤くんだって好きじゃん」
「そうだけどさ」
「ねぇ、先生も食べる？」
綿毛のようなそれをこっちに差し出しながら少女は首をかしげる。
祭りの雰囲気のせいか夏休みのせいか、今が教師と生徒ではないせいか。
今日の少女はずいぶんとふんわりしていて可愛らしい。
いや、いつも可愛いとは思ってるけど、それでもこの少女はただの可愛い女子生徒では全くない。
「俺はいいよ。お前らの分だろ」
「そうだよA。別に二宮先生にあげなくたって」
「だって買ってもらったのに悪いじゃん。ほら先生」
ふにっと綿毛を引き裂いて少女は俺に差し出した。
こういうところこの少女は意外と律儀である。
生活費を自分で工面しているせいか金銭のやり取りには細かい。
学校の職員でそれを知っているのはたぶん俺だけだと思っている。
背の低い俺でも少女の顔はある程度下にある。
当然のように俺を見上げて白い砂糖を掲げる少女は白い頬を熱気のせいでほんのりと赤く染めていた。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年6月6日 16時
