今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:27,380 hit
小｜中｜大
Last Scene -7 ページ16
.
固まったまま、なのは、私も櫻井先生も一緒だった。
だけどようやく息を吸い込んで、私はもぞもぞと体を起こす。
櫻井先生がこちらを見た。
私は、逸らさずにその目を見上げていた。
「……ニノがそんなに長いことお前こと好きだなんて知らなかったよ…親友なのに」
ぽつりと櫻井先生は口を開いた。
「大学から一緒なんだ。お前は俺の後輩になると同時にニノの後輩になったんだよ。……知らなかったって顔だな」
「…はい」
知らなかった。
私が志望校の話をした時だって二宮先生は一言も俺の母校だと言いはしなかった。
「あいつらしいよ。俺とは違う……。俺とニノはさ、全然似てないんだよ。思考の仕方が違う。……なのにどうして、被ったんだろうな」
「え……？」
声に出すつもりはなかったのにかすれた空気と一緒に音が漏れる。
櫻井先生は困り顔で笑ったまま、私の前までゆっくり歩いてきた。
「でも俺はニノみたいにはなれない。常識と倫理を捨てる勇気はない」
私の顔を櫻井先生が見下ろしていた。
その態勢はいつもと変わらないはずなのに、酷く胸の奥が音を立てる。
櫻井先生は何を言っているつもりなんだろうか。
そんなことを言うのは、どうしてだろう。
「……だから許してくれ、石動」
櫻井先生が吹っ切ったように笑った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年6月6日 16時
