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Last Scene -5 ページ14
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見え透いた嘘をつきながら先生は私をいつものベッドに座らせる。
そしてちらりと、壁にかかった時計を見やった。
「変な気分になるな。私服のお前がそこにいると」
「私も変な気分ですけどね」
卒業したというのにどうして私はまだこの人に振り回されているんだろうか。
それともこれは二宮先生を放り出した私への罰か何かだろうか。
「なぁ、A」
キャスターを滑らせて二宮先生はベッドに座る私の傍にやってくる。
またぎいと音を立てて立ち上がると、ベッドに座る私をずいとのぞき込んだ。
のけぞるように後ろに手をつくと、二宮先生がさらに迫る。
「なに…」
「お前もう俺の生徒じゃないよな」
「……だから？」
「だったらさ、もう一度俺のものに、」
言いかけた二宮先生を遮るようにガラリと扉が開かれる音がした。
私は反射的に身体を固くするけど、二宮先生は振り向きもしない。
まっすぐと、黒い目は私をとらえて離さない。
なんだか初夏のある日を思い出すような光景だった。
「ニノ、話って何……ニノ？」
聞こえてきた声に私の肩が跳ねる。
それと同時だったのは、一気に縮まる二宮先生との距離だった。
近づいた唇は触れる寸前でぴたりと止まる。
ピリと空気に緊張が走ったのが私にもわかった。
「ニノ、なにしてるの」
低い声。
聞き間違えるはずがない。
私の、好きな人の声。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年6月6日 16時
