Scene2 -4 ページ8
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数日後、三時間目の櫻井先生の英語の授業に出席した私は教室を抜け出して天敵の住処を訪ねた。
扉を開ければ我が物顔で陣取る二宮先生がニヤリと笑う。
「ついに俺に喰われに来たわけ」
「ちがう」
一言で否定して奥のベッドのカーテンを引く。
ぽすんとそこに座って上履きを脱いでいたらキャスター付きの椅子をぎいぎい言わせながら二宮先生が私のところまで滑りよってくる。
「そういやお前、最近翔ちゃんの英語の時間にここにこないね」
「そう？気のせいじゃないですか」
「いーや、気のせいじゃないね」
やけに強くそう言った二宮先生の目が私をとらえる。
心の奥まで見透かされそうな二宮先生の目が私は正直苦手だ。
どこか険しい目で見つめられてなんとなく後ろに身体を下げる。
「なに」
「お前さ、翔ちゃんのこと好きなの」
「えっ…」
「なんだ、図星かよ」
吐き捨てるように言った。
二宮先生の手が私の肩を押した。
バランスを崩した背中が硬いベッドに受け止められる。
覆いかぶさるようになった小柄な二宮先生がいつもよりずっと大きく見えた。
「悪いこと言わないから翔ちゃんはやめとけ」
「……何でですか」
「ろくな女好きにならないから。かわるがわる悪い女に引っかけられて、へこんで、また同情心で付き合って振られて、その繰り返しだよ」
つらつらと二宮先生は櫻井先生の欠点みたいにそんな言葉を並べる。
掴まれた肩が痛い。
だけど上手く声が出せなくて、押し倒されていることもよくわからなかった。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年5月17日 15時
