Scene2 uncontrollable ページ5
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好きだなんて嘘みたいな話だ。
というか脳の錯覚だというリアリストの発言を私は結構信じている。
だってこんなに単純なのに制御ができないなんてのはバグ以外の何物でもない。
「お前リアリストすぎだろ」
「そうかな？」
呆れた顔する幼馴染はそばをすすっている。
場所は学校の食堂。
学生に優しい良心設定の価格のおかげで一人で生きている私でもこうしてそこそこ美味しいラーメンが食べられている。
「でなに、今度の相手は誰」
「バイト先の先輩」
「へー」
潤くん全然興味ないな。
心のこもってない声で言った潤くんはかけそばに七味をかけている。
まぁ別にいいけど。
私だって潤くんと恋バナがしたいわけじゃない。
「またコクられたのか」
「うん」
「ことわりゃいいだろ」
「だって…」
「はいはい。放っておけないんだよな。全くお前ってやつは」
さすがの幼馴染。
潤くんは分かりきった顔で言うとまたそばをすする。
興味なさそうにしながら話を聞いてくれるあたり潤くんは優しい性格をしている。
見た目はちょっと怖いけど。
私に恋人がいてどうして潤くんにはいないのか甚だ疑問である。
「で、好きなわけ？」
「たぶん？」
「あっそ」
今度の彼氏さんになったバイト先の先輩は私と同じようにバイト代で生きている人で。
何かと抱え込むタイプなのかちょっと心もとない時がある。
そんな人が私なんかを好きだというのはバグ以外の何物でもないはずで。
バグってる先輩を放っておくことが私という人間はどうしてもできない。
「優しいんだよな結局お前は」
「そうかな」
優しい人は同情に似た気持ちで簡単に付き合ったりしないんじゃないの。
知らないけど。
伸びてきたラーメンを咀嚼しながらその言葉は一緒に飲み込んだ。
同情だろうが優しさだろうが、放っておけなくなってしまうことだけは事実である。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年5月17日 15時
