Scene4 -2 ページ22
.
「Aちゃん、今年受験だよね？」
「はい」
「そろそろAOとかの季節だけど、どうするの？」
相葉先輩に問いかけられてそういえばそんな季節だよなぁと思い返す。
潤くんはAOの予定だから最近は学校で遅くまで小論文と面接の練習をしているみたいだ。
「私は一般です。行きたい大学があるので」
「へー、どこか聞いてもいい？」
窺うような姿勢は先輩らしい。
私は洗っていたお皿を引き上げながら大学の名前を告げた。
「えっ、それってめっちゃ難関校じゃん。バイトなんかしてていいの？」
「大丈夫です。一応模試では合格圏内なので」
「まじで？Aちゃんそんな頭良かったんだ」
「特化して勉強してるだけですよ」
実際私は出席もギリギリな不良生徒なので学校の成績がとてもよかったわけじゃない。
だけど櫻井先生を好きになってから櫻井先生の母校に狙いを定めて受験対策の勉強だけはちゃんとしてきた。
幸いあんまり苦労してないのは思いがけないポテンシャルのおかげだと思うことにしている。
結局雨は日が暮れるころまでに降り出した。
ざぁざぁと降る雨を見ながらため息が止まらない。
せっかく学校に行ったけど今日は櫻井先生に会えなかった。
何でも一身上の都合でお休みだとかで。
二宮先生は保健室でため息を吐く私に何も言わずにお昼のハンバーグ弁当のハンバーグをすこし大きめに切り分けて食べさせてくれた。
お昼に保健室でご飯を食べることにもすっかり慣れてしまった。
もとよりあの場所は私の根城である。
「Aちゃん、気を付けてね」
「はい。相葉先輩が帰る時には雨あがってると良いですね」
「ほんとだよもう」
笑う先輩と別れてバイト先の喫茶店を出る。
ここは駅前のアーケード街だから雨に濡れることはないけれど、外では線になった前が次々と地面に降り注いでいた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 204人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年5月17日 15時
