Scene3 -5 ページ15
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ふっと目が覚めた。
視界に映るのは見慣れた保健室の天井と、真っ白い仕切りのカーテン。
部屋はまだ明るい。今は何時だろうか。
隣にいた二宮先生はもういなかった。
時計見えないけど、ずいぶん寝てしまった感じがする。
そのおかげか痛みは少し落ち着いていた。
遠くで引き戸の鳴る音がする。
「あれ、翔ちゃん何しに来たの」
「石動、保健室で休んでるって松本から聞いたから」
「わざわざ見に来たの？自分のクラスの生徒じゃないのに」
「俺の授業の生徒だろ」
「そうだね…でも担任でもない生徒、そんな風に見に来る？」
「…学校来たのに授業休んでたら気になるだろ普通」
「そうかなぁ。わざわざ見に来るくらい特別だって言うなら会わせてあげるよ」
「なんでニノにそんなこと言われなきゃいけないんだよ」
「そりゃ翔ちゃんにはわかんないでしょうね」
「はぁ？」
声が聞こえる。
二宮先生と櫻井先生の声だ。
姿は見えない。
カーテンの向こうにいる様だ。
「石動なら早退しましたよ」
え…私ここにいるよ？
二宮先生の言葉にぼんやりとそんなことを思う。
何の話をしているのかよくわからないけど、櫻井先生がそこにいるのに姿が見えないのはちょっと残念だ。
「嘘だ。松本がまだ寝てるはずって言ってた」
「…あぁ、松本のやつ余計なことを」
「なぁ、なんでニノがそんなにイライラしてんだよ」
「イライラなんてしてないでしょ」
「してるよ」
「してたとしても、翔ちゃんには一生わかんないよ」
「…なんだよ、それ…生徒を心配するのがそんなにいけないことかよ」
「そうは言えないけどね」
もめている。
なんでかわかんないけど。
冷たい二宮先生の声はこの間私をベッドに押し付けたときの声に似てる。
何かをこらえるみたいで、聞いているとちょっと苦しくなる。
「翔ちゃん次の授業あるでしょ」
「空きコマだ」
「……あっそ……一番奥のベッド。まだ寝てるから起こさないようにね」
「……わかった」
気配がこっちに向いた。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年5月17日 15時
