◆ ページ10
ミアは、さっきの場所から少し離れた、白い空間に俺を連れていった。
俺が電脳世界に来て、初めて目を覚ました場所と似ていた。
でも俺のと少しだけ違うところがある。
此処には、破れた本のページのようなものが浮遊していた。
俺のところは天気マークみたいなものが浮いていたから、これは人によって違うんだろう。
アシレ「…………で、ミアが聞きたいことって?」
俺が尋ねると、ミアは俺の目をまっすぐ見た。
ミア「ジュケって知ってる?」
アシレ「…………ジュケ?」
聞き覚えがない名前だった。
アシレ「知らないな。あんたの友達?」
ミア「うん。電脳世界にいるはずの友達。だから私もここに来てみたんだけど……まだ目撃情報はないの」
ミアが目を伏せた。
要するに、ミアもジュケという人を探しているのか。
アシレ「ジュケってどんな人?」
ミア「明るい茶色の髪をしていて、眼鏡をかけてる。いつもノートを持ってるから、本を持ってる人に会ったら「貴方がジュケですか」って聞いてみてほしい」
アシレ「わかった。もし会ったらミアのこと伝える」
ミア「ありがとう」
ミアはそう言って笑った。その笑顔があまりに嬉しそうなので、俺は冗談半分で聞いた。
アシレ「あんた、ジュケのこと好きなの?」
ミア「……………え」
不意にミアが固まる。あれ?
アシレ「……………もしかしてマジだった?」
ミア「な、なわけない。違う違う、ただの友達!」
アシレ「それ、誤魔化す人のテンプレだから」
ミア「誤魔化してない。ホントに友達!それを言うなら、アシレはオクリのことどうなの?」
アシレ「え?」
急にオクリの名前が出てきて、驚いた。
アシレ「オクリのこと知ってるのか?」
ミア「うん。私は最近ここに来たんだけど、オクリは結構前から電脳世界にいたらしくて、草原で会ったの。ジュケもいないし心細かったから、オクリが居て安心した」
ミアも、オクリと会って安心したのか。もしかしたらあの子には、人を安心させる力でも有るのかもしれない。
俺は不安にしかさせられないから、羨ましい。
アシレ「俺は今日この世界に来たばっかだから、オクリとも今日が初対面。ってわけであんたの言う『オクリのこと好きなんじゃないの〜?』的な言葉は俺には通じないよ。残念だったな」
ミア「え?初対面?」
ミアは俺が言ったことを70%ぐらいスルーして、残りの30%に聞き返した。
「昔から一緒の仲だったわけじゃないの?」
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作者名:スター | 作成日時:2022年1月24日 21時