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隣国が急に攻撃を仕掛けてきた。予告も何もなかったせいで、私たちの國は大混乱していた。
城が攻められ、火が放たれた。
私は姫様から戴いた神楽鈴だけを持って、姫様のもとに駆けつけた。
オクリ「姫様！」
カグヤ「オクリ。そなたはナツオリと逃げなさい。私はまだここに残ります」
オクリ「そんなこと出来ません。姫様は早くお逃げください！今ならまだ…………」
カグヤ「オクリ。私が何故オクリに神楽鈴を授けたか、忘れたのか？」
オクリ「…………」
カグヤ「このようなの為だ。私は民を助けなくては。ナツオリ、彼女を」
ナツオリ「いえ、姫様。姫様がここに居る限り、私もここに残ります。オクリは逃げなさい」
オクリ「でもナツオリ、」
ナツオリ「早く！」
強い口調で怒鳴られ、私は身を削る思いで返事をした。
オクリ「……………ナツオリ、姫様を頼みます。姫様、どうかご無事で」
最期に２人の姿を目に焼きつけ、私は廊下を走り出した。
最後の手段のつもりで来た裏門は、既に火が回っていた。
オクリ(………駄目か………せめて姫様たちは………)
そんな言葉が頭をよぎったとき、煙を吸いすぎたのか、体から力が抜けた。
一瞬の浮遊感の後、立つこともままならずにその場に倒れる。
全身が熱くて、溶けてしまいそうだった。
煙で染みる目をなんとか開くと、私は衝撃的な光景を見た。
カグヤ様が背中から鎌のようなものを生やし、その場の兵たちを次々と刺していく。
ナツオリは、矢が何本も刺さったまま動かない。
オクリ(…………え………？姫さ、ま……？ナツオリ……？)
呆然とするなかで、遂に意識が無くなってきた。
私はとっさに、カグヤ様との会話を思い出す。
カグヤ「オクリ、もし私が消えれば、この国は滅びるだろう。その時のためにこの神楽鈴を預ける」
オクリ「姫様は消えません、私もナツオリも側におります」
姫様は微笑みながら私の手に神楽鈴を握らせた。
「――――これは、未来を創るための道具だ」
神楽鈴が未来を創るなら、きっと―――――――。
意識が途切れる寸前に、私は神楽鈴を振った。
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作者名：スター | 作成日時：2022年1月24日 21時
