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この姿は、教科書で見たことがある気がした。
歴史の、平安時代の授業だ。
とはいえ見覚えがあるのは和装ぐらいで、姿を見せた少女に見覚えはない。
でも、もうひとつ。現実世界でも見たことがある物を見た。
神楽鈴。
大体、巫女が持ってるやつだ。だとしたらこの子は巫女なのだろうか。
いや………、なんか王冠みたいなの着けてるし、確実にお姫様だろ。
アシレ「………あんたがお姫様?」
「…姫様?………姫様はカグヤ様です」
アシレ「カグヤ様?誰それ」
俺が言うと、少女は眉をひそめた。
「私が仕えていた和の國の姫様です。あなたはその時代にいなかったのですか?カグヤ様を知らないなんて」
アシレ「その時代ってどの時代なんだよ。俺は2041年から来た」
「2041年?随分と未来から来たんですね」
アシレ「てことは、あんたは過去から来たんだな」
少女は頷く。
アシレ「あんた、うんと昔の時代の人間なのにどうして電脳世界に居るんだ?」
「この神楽鈴が、私の時代とあなた方の電脳世界を繋いでいるようです」
少女はそう言って、手に持っていた神楽鈴を見た。
どうやらそいつが戦犯らしい。
「あなたは?」
アシレ「俺は現実世界でパソコンにパスワードを入力して、気が付いたらここに倒れてた」
「パソコン?パスワード………未来はそんなものがあるんですね」
「ほんとに何も知らないんだな」
俺の言葉に、少女は少しむっとしたようだった。
「知ってることは沢山あります。貴方、名前は?」
アシレ「アシレ。君は?」
オクリ「オクリです。今から貴方に教えてあげます。私が知っていることを」
アシレ「じゃあ、とりあえず場所変えない?ここじゃ気分が悪い」
オクリ「………わかりました。ついてきてください、良い場所があります」
オクリはそう言うと、背を向けた。
色鮮やかな羽織が目に映った。
アシレ「それ、昔の服?きれいだねえ」
オクリ「いいから来なさい」
つんとしたオクリの反応が面白かった。
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作者名:スター | 作成日時:2022年1月24日 21時