remember 18 ページ20
『あ、見つけた！』
『……は？』
架空空間、そう呼ばれてもおかしくない場所。電子の交わる深い場所で、Aiは自分以外の声が聞こえた。
ここは遊作の作り上げたセキュリティの中で、最も奥深い場所。誰かが入って来ないよう、厳重に掛けられた何重ものロックを破って来れる人間は早々いない。自分の自称友人である彼だってそれなりに技術を持つハッカーのはずなのに。この空間に姿を見せたということは、それを超す腕利きのハッカー。ちょこん、っと白い空間で佇むAiは入ってきた相手に警戒心剥き出しで応戦体制をとった。
『そう、身構えないでよ〜』
『身構えるに決まってるだろ、ここはあいつが厳重なセキュリティを掛けてるはずなのに。どうやって入ってきたんだお前』
『彼って、藤木遊作？Play makar？って両方一緒か』
『お前…何者だ？』
『僕はジャービス。彼からいつも聞いてるだろう？』
Aiが小さな姿で目を開くと、前に立つジャービスはにっこりと笑った。リボルバーと話し合いに応じた時とは違い、今回のジャービスは男女どちらでもない姿ではなく、男のアバターで来ている。目の前にいる男にAiはパチクリと丸い目を瞬きした。
『お前があのウィザード級の？…男だったんだ』
『あは、これはアバターだからね。僕はアバターをころころと変えるのが趣味なんだ。今回はこの姿なだけで、次会う時は女かもしれないよ？』
『あー…せっかく手がかりを掴んだと思ったのにぃ……』
『彼に報告したって無駄さ』
『それより、お前。どうしてここに来たんだ？』
Aiの質問にジャービスは、ぱぁっと花をほころばせる様な笑顔を向けてAiへと近づく。変なやつ、AIである彼にそれ以上の感情は見当たらない。近づいてきたジャービスを前に、Aiは首を傾げた。
『僕、君とお話がしてみたかったんだよね！』
『俺と？なんで？』
『興味があるからだよ！前々から気になってはいたんだけど、彼を挟んでのお話がしたいわけじゃないからね…。君とこうしてマンツーマンで話したかったのさ！』
『…変なやつ！』
Aiの手を握り、嬉しそうに話すジャービスにAiは少しだけ好感を持てる相手だと、ぶんぶんと振られる手を尻目に彼を見る。いつも遊作が言う、調子が狂うとはこの事か。Aiにとってのその相手はジャービスで、それを今身をもって感じた。
電脳世界の何重にもロックされたその場所で、Aiはどこか心が温まるような気持ちになった。
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暁(プロフ) - とても面白いです!!次の更新楽しみにしています!! (2019年10月8日 12時) (
レス) id: dd077ce83e (このIDを非表示/違反報告)
はな - 続き読みたいです！面白かったです (2019年4月16日 1時) (レス) id: 87d0cab806 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナコ(プロフ) - 続き楽しみにしてます！頑張れ〜恋愛一年生、遊作！ (2019年4月6日 21時) (レス) id: c6a15fa920 (このIDを非表示/違反報告)
しゅりんぷ(プロフ) - ねこみこさん» コメントありがとうございます。お返事が遅れてしまい申し訳ありません。とても嬉しいお言葉ありがとうございます、ご期待に添えるよう更新頑張ります。 (2019年4月1日 1時) (レス) id: a80e55b6ef (このIDを非表示/違反報告)
ねこみこ(プロフ) - とても面白いです更新頑張ってください！ (2018年7月3日 22時) (レス) id: 185c2ad794 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅりんぷ | 作成日時：2017年9月22日 17時
