remember 16 ページ18
『あんたのせいで痛い目を見た』
『僕のせいじゃないだろう。デュエル部は楽しかったかい？』
『これと言ったものは掴めなかったから、骨折り損のくたびれもうけという奴だ』
『随分周りに弄られたりしてたもんね』
デュエル部で合ったことを最近では日常化しているジャービスへの報告、雑談にメッセージで送るときっと後ろで笑っているだろうジャービスの姿が思い浮かぶ。
ブルーエンジェルの正体を教えて草薙さんに話を持ちかけたのはジャービスの仕業だった。まんまと踊らされた草薙と遊作は、それはそれはジャービスの想像する楽しい展開通りに動いてくれて、その事に彼はほんの少しだけ腹を立てていた。
『ダミーのデッキまでこちらに提供しておいて他人事か』
『あはは、ごめんよ。そんなつもりは無かったんだけどね、そのデッキは気に入ってくれた？』
『持っていろと言われたから何事かと思えば。随分と計算し尽くしているな』
あの場で島が訪れ、運の尽きが回ってきたからあんな目にあったんだと思っていたが違うようだった。中に入って、デッキを見せろと財前葵に言われた時。ジャービスがここまで予想しての行動だったと、掴まされたハーフデッキで遊作は初めて全てを理解した。例え、遊作が草薙に煽られて財前葵をつけていたとしても、デュエル部に飛び込むとは限らなかったはずだ。
財前葵がデュエル部へと赴くとは限らない。しかし、赴いた先に更なる偶然として島と谷町。お人好しな部長が加わったから、遊作は入らなきゃいけない羽目になった。偶然では済まない、だとするとそれらは全てジャービスの計算。勿論、遊作は入る気などなかったし、このハーフデッキだって使う予定はなかったのだ。
まるで未来予知でもされている気分。きっとジャービスはすべて計算で成り立たせているのだろうけど、ジャービスの頭の良さに遊作はただただ悔しさを感じるしかなかった。
『ほんの少し、もしもの可能性と確率を組み合わせただけだよ。未来予知じゃない』
『……何故考えていることがわかる』
『君は存外わかりやすいのさ。その、手を顎に当てて考える癖とかね』
いつの間にか当てていた手を急いで離すと、ジャービスとのログはすべて消え去る。自分より一枚上手なジャービスに遊作は優れた頭脳の持ち主だと、歯痒さを感じた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暁(プロフ) - とても面白いです!!次の更新楽しみにしています!! (2019年10月8日 12時) (
レス) id: dd077ce83e (このIDを非表示/違反報告)
はな - 続き読みたいです！面白かったです (2019年4月16日 1時) (レス) id: 87d0cab806 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナコ(プロフ) - 続き楽しみにしてます！頑張れ〜恋愛一年生、遊作！ (2019年4月6日 21時) (レス) id: c6a15fa920 (このIDを非表示/違反報告)
しゅりんぷ(プロフ) - ねこみこさん» コメントありがとうございます。お返事が遅れてしまい申し訳ありません。とても嬉しいお言葉ありがとうございます、ご期待に添えるよう更新頑張ります。 (2019年4月1日 1時) (レス) id: a80e55b6ef (このIDを非表示/違反報告)
ねこみこ(プロフ) - とても面白いです更新頑張ってください！ (2018年7月3日 22時) (レス) id: 185c2ad794 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しゅりんぷ | 作成日時：2017年9月22日 17時
