↑続き ページ12
「よぉ」
…神様、貴方様は私の事がお嫌いなんでしょうか？
この脳内の混乱が落ち着くまでは家から出ないぞ、と沢山買い溜めた大きな袋を両手に持つ私の前に立つトード。彼は彼で何か買い物をしたのか、腕に小さな袋をぶら下げている。
まさかマーケットで鉢合わせするだなんてと、己の運の悪さを恨みつつ軽く挨拶を返して横を通り過ぎようとした。
「なんだよお前、普段より更に愛想無いな。それにこの量の買い物、どれだけ食うんだよ」
いつもならそんなに絡んでこない癖に、今日はやけに食いついてくる。もういいから今日は放っておいてほしい。
トードの顔を見ないように下に目線を下げたまま、かけられる言葉を軽くいなす。そんな私に気分を悪くしたのか、急に顎を掴まれグッと上に上げられた。
「おい、聞けよ」
無理矢理顔を上げられたせいで、ずっと避けていたトードの顔が視界に広がる。
『…っはは、かわい…』
脳内に夢で見たトードのあの顔がフラッシュバックする。あ、ヤバ…、
「…へぇ」
私の顔を見たトードの表情が、不機嫌な顔から徐々に面白いものを見つけた、というような顔に変わっていく。
そりゃそうだろう、自分でも分かるくらいには顔が燃えるように熱い。普段嫌味の言い合いをするくらいの関係のやつがこんな顔をするなんて、そんなの勘付いてくれと言わんばかりじゃないか…。
押し黙る私に機嫌を良くしたらしいトードは、不意にサッと私の持つ大きい袋を掠め取った。
あっ、ちょっと！と言いながら奪い返そうとするも難なく避けられ、「俺が家まで運んでやるよ」とサッサと先を歩き出す。
何度取り返そうとするも失敗し最終的に諦めた私に、トードはただ意味深なニヤニヤとした表情を向ける。
その目に宿る熱のような、普段と違う感情のようなものを見てしまい、余計に自身の全身が燃えるように熱くなる感覚に陥る。
家に着いた後、どうかあの夢が正夢となりませんように…。
上機嫌なトードの背を見つめながら、祈るような…でもどこか待ち望むような、そんな気持ちで彼との家路を帰るのだった。
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あしは(プロフ) - *momo*さん» ご感想をいただきありがとうございます。気まぐれ更新となりますが、良ければ今後も見に来ていただけるととても嬉しいです！ (1月6日 7時) (
レス) id: ff3801b822 (このIDを非表示/違反報告)
*momo* - とにかく尊い､､、！ありがとうございます！(*^∀^*) (1月6日 1時) (レス) @page16 id: 3a6a443e16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あしは | 作成日時：2023年1月23日 22時
