Tord ページ1
冬の夜は嫌いだ。寒いのも勿論だけども、冬は一際ひとりでいる事が耐えられなくなる。仕事終わり、ぽつんと誰もいない道を歩いて帰りながら思う。
人肌恋しくなる季節とは言うけど、例に漏れずそれに影響されて、毎年寂しい気分になる自分にも嫌気がする。
「よぉ、こんな時間に出歩いて何してんだ？」
ふと後ろから声がした。一瞬ビクッとしたけど、近所に住む四人組のうちの一人で聞き覚えのある声だと気付き振り返る。案の定そこにはマフラーを巻いて、暖かそうな格好をしたトードがいた。
トード、と呼びかけると私の隣に歩み寄り並んできた。先程の問いに仕事帰りだと答えると、少し目を見開いた後に眉を顰めて「お前こんな時間まで仕事してんのかよ…」と怪訝そうに言ってきた。
特段やりがいがあるという訳ではないが、それでも給料がそれなりに良いので暮らしていくためには辞めるに辞められない。実家を離れたからには一人で頑張らなくてはいけないのだ。
そんな私の境遇を知ってか知らずか、隣の男は私の方をじっと見て複雑そうな顔をしている。
「女ひとりで夜道を歩くなんて、そのうち襲われても知らねーぞ？」
そう言うトードに、こんな草臥れた女を好き好んで…なんて自傷気味に返す。仕事ばかりで色恋沙汰もなく、碌に恋人すらいた事もない女なのだという意味を込めながら。
そう告げた後のトードはムッとした顔をして、私の腕を掴むと顔をグッと近付けて「俺が、何でこんな時間に外に出てると思ってんだ？」と問いかけてきた。
整った綺麗な顔が目の前にある。動揺し何も言い出せず狼狽えていると、掴まれていた腕を引っ張られ、トードの服のポケットに強引に収められる。
ポケットの中で指を絡めて手を繋がれ、そのまま先を歩き出すトード。その手に引かれるまま、半歩後ろを歩く私。少しだけ見えるトードの横顔は、寒さのせいなのかも分からないくらいに赤い。
その意味を察せない程鈍くもない私も、トードに負けないくらい顔を赤くして歩くしかなかった。
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あしは(プロフ) - *momo*さん» ご感想をいただきありがとうございます。気まぐれ更新となりますが、良ければ今後も見に来ていただけるととても嬉しいです！ (1月6日 7時) (
レス) id: ff3801b822 (このIDを非表示/違反報告)
*momo* - とにかく尊い､､、！ありがとうございます！(*^∀^*) (1月6日 1時) (レス) @page16 id: 3a6a443e16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あしは | 作成日時：2023年1月23日 22時
